リプニツカヤ<どう生きるべきか理解しようとするのをやめた(3)>
ピョンチャンが終わったら19歳。年が行きすぎてる。
― 生活様式を変えて、ソチに慣れるのにどれぐらいかかりましたか。
最初の頃はちょっと腰を下ろすこともできませんでした。すべてが新しくて。計画していたことをやり遂げようと目の回るような忙しさでした。しょっちゅう寝坊して朝の練習に間に合いませんでした。モスクワでは滑り始めるのがお昼1時だったので、目覚まし時計で起きなくちゃいけないことなんてなかったんです。それに、寝たいときに寝られました。ソチでも今のところ、早い時間に眠れないので、起きるのが大変です。本を読んだり、絵を描いたりして、もう数えきれないほどノートを使い切ったし、あとは散歩したり、音楽を聴いたりしてみたけれど、ぜんぜん眠くならなくてお手上げです。
― 食事もホテルでとっているのですか。
基本的に朝ごはんだけです。あとはその時どき。ホテルでバイキングを食べることもできるけれど、あれはダメです。あまりにも好きなだけ食べてしまう誘惑が強すぎて。そういうわけで、お昼(晩)ご飯はどこか別の場所で食べる方が多いです。もしくは、ホテルの部屋で食べられる出来合いのものを買うだけ。自分では料理できそうにありません。でも、何もかも気に入っています。モスクワでの生活の方が難しかった。ただ散歩しに外へ出たいと思うだけでも。
― 市内にアパートメントを借りようとは思わなかったのですか。
思いませんでした。それは私の場合、あまり安全ではありません。私の生活にとても積極的に割り込もうとする人がかなりたくさんいることが分かりました。住所を探し出して、電話をかけてくるんです。どうすればあんなに遠慮なく、他人の空間へ自信満々に押しかけることができるのか、何を期待しているのか、私にはまったくわかりません。そういうわけで今の段階では、他のどんなところよりもホテルがいちばん快適です。
― 外で気づかれることはありますか。
歩いてきた人が私を見て、目を大きく見開くことはあります。どこで私を見たのかとっさに思い出そうとしていることがわかります。そんなときは足を早めて、大急ぎで立ち去ります。
― モスクワが恋しくありませんか。
いいえ。今こうやって何日かこっちへ来て、知っている場所をひと回りして、みんなと挨拶したけれど、ちゃんと帰り支度ができます。完全にモスクワへ戻って来るのは、私のソチの冒険がぜんぶ終わってからです。
― その冒険は、あなたの感覚ではどれぐらい続きそうですか。
ずばり約2年です。あとはなるようになるでしょう。もしかすると、あと8年ぐらい滑りたくなるかもしれません。
― 体重との戦いは、もう以前ほど問題になりませんか。
問題があったのは夏です。痩せようとして、走ったり、食べなかったりしましたが、何にもできませんでした。「空気で太る」というフレーズがあります。以前はただのそういう言い回しにすぎないと思っていたけれど、これは私自身に起こったことを一番よく言い表している言葉ですね。スプーン1杯のハチミツを紅茶に入れると、1キロ太るんですよ。いったい何が起きているのかさっぱりわからないときもありました。だって、成長期について世間で言われているような恐ろしいことは、私にはまったく関係ないと本当に思っていたので。
ロシア選手権の前、途方もない努力をして1キロ痩せました。それがロシア杯ファイナルの前にいきなり自然と体重が落ちて、すぐにあらゆる洋服から「抜け」始めたんです。ソチでは食べ物に関して全体的に楽になっています。私は果物、野菜、葉物をたくさん食べていて、それが気に入っています。
― モスクワにとどまって成長期のあらゆる困難と戦っていたとき、シングル競技をやめてしまいたいとは思いませんでしたか。例えば、パートナーを見つけてペアへ移ってかなり成功しているソフィヤ・ビリュコワのように。
実は、秋にマリーナ・オレゴヴナ(・ズエワ※編集注)の合宿で少し滑ってから、すごくアイスダンスをやってみたくなったんです。モスクワへ帰って来て、アイスダンスをさせてほしいと言ってママをかなり長い間うんざりさせたぐらい。ダンスならきっとすべてうまく行くように思えたんです。私は小さくて、柔軟性があって、リフトで回すのが楽だろうし、それに私も怖くないし。アメリカではアイスダンスの選手とカップルを組みさえしました。素晴らしかった。
― では、その思いをピョンチャン五輪後に実現する妨げになるものは何ですか。
もう19歳になるので、年が行きすぎです。アイスダンスは長く滑りこむ必要があります。実は、このアイデアをある人に話したら、こんなことを言われたんです。「何言ってるの、気でも違ったの?あの人たちは毎日8時間、スケーティングだけに取り組んでるんだよ」って。
― でも、ペア競技へ移ることもできるのでは。
いいえ、ペアはやりたくありません。見る側としては、ターニャ・ヴォロソジャルとマクシム・トランコフやクシューシャとフェージャ(ストルボワ/クリモフ組※編集中)の滑りが大好きですが、自分がペアのパートナーになるのは想像すらつきません。数種類のエレメンツの中から1つだけを取っても、すごく怖くなります。
(つづく)
<自習メモ>
и всё тут:Довольно, хватит, всё, конец, кончено.
шведский стол バイキング料理
выносить мозг:донимать бессмысленными разговорами, надоедать
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