なぜソトニコワとトゥクタミシェワは負けたのか
前半はロシア人ジャーナリストのいわゆる「記者の目」。後半のミーシン先生のインタビュー部分のみ全訳しました。お二人とも「非常にロシア的な」意見を述べていますが、評価するところは評価するというスタンスのようです。
2015年10月4日
アンドレイ・シモネンコ
フランス男子はロシア女子を助けられなかった
(大意:ジャパンオープンでリーザとアデリナが日本選手に負け、ヨーロッパチームは最下位に甘んじた。なぜならこれは商業試合であり、主催者が出場者を選び、特殊なルールで行われたから。フランスのジュベールの得点はロシアの女子2人より低かった。そしてもうひとつの理由は、ジャッジがとても日本的だったから。日本の女子2人に回転不足があったのは明らか)
ソトニコワの滑り:エモーションによる美
(略)
アレクセイ・ミーシン:リーザだけが日本でトリプルアクセルを回りきった
〈ジャパン・オープンは、ソトニコワのみならず、他のスター選手たちの復帰戦という点で興味深いものだった。世界選手権を3度制しているマオ・アサダとパトリック・チャンのことだ。マオは、トゥクタミシェワが失敗したトリプルアクセルを成功させ、観客たちをがっかりはさせなかった。それに全体として、彼女の滑りは人々を感動させないはずがなかった。それは本物の芸術だった。一方チャンは、ジャンプの面でまだまだだった。とはいえ、ジャンプを回復させれば、彼と争うことはたちまち困難になるだろう。しかし、ユヅル・ハニュウのように(そしてソチ五輪団体戦ショートプログラムのエフゲーニー・プルシェンコのように)証明することは、可能だ。〉
↓ここからミーシンコーチのインタビュー↓
この大会は、興行性の点で世界選手権に引けを取りません。誰よりも印象的だったのはハビエル・フェルナンデス。体力があり、(選手として)仕事をするコンディションにあります。ソーマ・ウノ(※原文ママ)は、言うなれば、当然とは言い切れないにしろ立派に1位となったわけですが、彼が意志の力でジャンプを跳んでいるとするなら、フェルナンデスの方は高い質と非の打ちどころのないテクニックで跳んでいます。ソーマ・ウノは伝統的なスケートの型の保持者ではないとも言えます。しかし彼は、神に許された自身の武器庫からすべて ― さらに武器を持っているのでなければ ― を絞り出しました。
パトリック・チャンは今のところ一時停止状態で、復帰はしたものの、まだ心地よい状態でないことは明らか。4回転ジャンプはうまく行かず、トリプルアクセルはトゥで引っ張られました。
― 女子の試合の主な印象は?
偽りの謙虚さは廃して、まず第一にトゥクタミシェワを取り上げたい。勝利のシーズンというものはそれほど簡単に経過してくれず、それは我が国のオリンピックチャンピオンたちの例に見て取れます。リーザもまた、14試合中12試合で勝利を収めた昨シーズンを経て戻ってくるのは非常に困難でした。しかし今では、事はうまく運び、彼女は自分自身を見出し始めたと言えます。
私の気に入ったことは2つ。まずフリープログラムが専門家たちに高く評価されたこと。このプログラムでリーザは昨年とまったく違って見えます(ちなみにショートでは、この違いはさらに明らかなものとなりますが)。それから、もちろん、トリプルアクセルを試みたこと。リーザは集中し、臆病にならず、このジャンプを回りきりました。今大会の女子でただ一人。
―つまり、アサダはトリプルアクセルを回りきっていなかったと?
大会はショー的・商業的性格を帯びており、日本選手たちは、言うまでもなく、開催国の支援を誰よりも享受しました。概して日本のフィギュアスケート連盟で働く人たちは非常に仕事ができる。この大会の力を借りてマオの復帰を浮き立たせ、ソーマ・ウノを宣伝し、ミヤハラをサポートしました。私なら今大会をこのように受け止めます。
リーザには本当に満足しています。彼女は素晴らしい滑りをし、フリープログラムの終盤で観客たちをほとんど狂喜させました。
― アデリナ・ソトニコワはどうでしたか?あなたも私たちと同じだけ長い間、彼女を見ていなかったはずですが。
よくやりました。立派で熱心な女の子です。個人的に話をして好印象を持ったことをお伝えしたい。彼女は様々な試練をくぐり抜け、そしてスター病は彼女に触れてもいません。
<原文>
http://www.sovsport.ru/gazeta/article-item/846728
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