ヤグディン<バカ騒ぎを起こしているのは不健康な人間(2)>
《メドベージェワは半年休養する必要があった》
― メドベージェワのコーチ変更に伴う困難についてお聞きします。あなたも同じ経験をお持ちですね。
ええ、微妙な違いは別としてそっくりですね。年齢もほとんど同じ。ただ、僕の移籍先はロシアのコーチでした。
― 実際に難しいプロセスでしたか?
僕が思うに、ジェーニャは半年休んで、それから通常どおりに滑り込む必要があったんじゃないかと。なんと言っても僕の移籍先はタラソワで、同じソビエト‐ロシアスタイルのコーチでした。カナダではトレーニング、生徒、試合準備、スケーティングスタイルへのアプローチが完全に異なります。休養を取って、グランプリシリーズをスキップして、一新した状態でロシア選手権へ戻ってくる必要があったかもしれません。
でも、彼女たちはグランプリシリーズから始めると決めました。僕は、試合を1つ、2つと台無しにしてしまうのがどういうことか、自分の経験から知っています。それらすべての失敗がその後、頭の奥深くに居座るんです。疑念が浮かび始めます。
クリーンな滑りを次々に決めているときは、違う気分でリンクへ出ていけます。疑念の割合はかなり小さくなります。崩壊が始まると、頭を元に戻すのがたちまち非常に難しくなる。ジェーニカは世界選手権までに元に戻すことができました。アリーナも同じことをやりました。
さて、困難についてですが…そうですね、今回ジェーニャは別のコーチへ移るという決断をしました。これについて非難したり論じたりする権利は、僕には基本的にありません。これは彼女の人生です。
僕自分がこの決断を下したとき、なんのためにそうするのか分かっていました。しかし、連盟のピセーエフ会長がやって来て「リョーシャ、もし君がタラソワのところへ移るなら、これ以上1試合も勝てないよ」と言ったんです。この言葉にはショックを受けましたね。でも、今の連盟はアリーナもメドベージェワもサポートしています。
― ミーシンから去る決断をするのは大変でしたか?
簡単ではなかったです。ただ、もしミーシンのもとに留まるならば、行き止まりになるだろうということは認識していました。そのとき何が起こったのかオープンに話したことはありませんが、もし去っていなかったら、僕はそれ以上存在しなかったでしょう。ミーシンとホテルで話し、その後部屋でどれほど泣いたかを覚えています。18歳だった僕には、これから何が起こるのか分かりませんでした。
だいたいの場合、人が去るときは、どこかへ去るものです。たとえば別の仕事に誘われるとか。僕の場合、去ってからさらに1カ月間コーチ探しをしたんです。そのときはアメリカ公演の最中。ミーシンと会いました。「君が出て行ったという噂が流れているが」と言われました。僕は、本当のことだと答えました。それだけです。
(つづく)
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