トゥクタミシェワ<銃殺刑場に出て行くんじゃない、競技に出るだけ(上)>
2014年12月14日
オリガ・エルモリナ
(前文略)
― リーザ、昨日の滑りについて聞かせてください。
クリーンに滑りました。体調がすぐれない中で試合に出たこと、最高の状態でトレーニングできていなかったことを考えると、グランプリ・ファイナルで優勝できてとても嬉しいです。今日は滑るのが少しつらくて、プログラム終盤は足に力が入りませんでした。でも、この優勝は私にとってすごく重要です。
― 今シーズンのキーポイントになったのは何ですか?
そういうことはぜんぜん考えていませんでした。流れに乗っていただけです。何も予測しなかったし、今も予測していません。自分の仕事をしただけです。
― でもあなたは落ち着きましたね。競技会でも演技前に緊張しなくなりました。
ええ。
― 一体どうやって?
人生にはもっとずっと酷いことがあると分かったんです。私の怪我やオリンピックよりもね…人々はもっとグローバルな問題に直面しています。私が出るのは銃殺刑場じゃなくて、競技です。私にとってはお祭りです。ええ、大変ですけど、恐ろしいことは何もありません。恐ろしいのはただひとつ、転倒して怪我をするかもしれないこと。だから、すべてに冷静に当たらなくてはいけません。
― あなたは昨日、あと8年ぐらいフィギュアスケート競技をやるつもりだと言いましたね。その8年間、銃殺刑場へ行くような気分にならずに過ごすことができますか?
人間には自分の可能性なんて分かりません。でも私は持ちこたえたいと願っています。失敗することはあります。みんな間違いを犯します。でも、少なくともこの期間は自分を見失わないよう努力します。
― では以前、演技前にあなたの調子を狂わせていた最大のものは?
プレッシャーです。私が出てくると皆すぐに「我らがオリンピックの星」と言い始めたんですよ。そんな中でどうやって生活すれば?すごく影響を受けたし、プレッシャーになりました。私が五輪代表に選ばれてしかも優勝しそうだと、皆が100パーセント信じてたんですから。これはもちろん大変なことです。自分がその「顔」だと尚更です。でも、やがてそれは過ぎ去って、私は、乱暴な言い方をすると、忘れられました。そして私は誰にも何も証明することなく、ただ出て行って滑りました。
― つまり、ちょっとだけ忘れられることは、スポーツ選手にとって有利に働くと?
はい、試合毎に自分が品定めされるのを見聞きするのは大変なことです。他人の意見はどうでもよくてインターネットをしない人もいます。私もある種の記事は読まないようにしてますけど。でも、これだけ優勝すると、私についての否定的な評価が少なくなりました。嬉しいことです。
(つづく)
<原文>
http://fsrussia.ru/intervyu/579-elizaveta-tuktamysheva-ya-zhe-ne-na-rasstrel-vykhozhu-a-na-sorevnovaniya.html
<自習メモ>
подсесть:потерять часть сил, энергии, заряда и т. п.; ослабеть, устать, разрядиться и т. п.
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