ソトニコワ<みんなに忘れられて成長できた(6・完)>
アデリナのインスタグラムを見ると、今ちょうど憧れの海で休暇中みたいですね。しっかり休んで、さらにパワーアップして帰ってきて!
― さっき、ウラジーミル・プーチン大統領との出会いについて、もっと話そうとされていましたね。
初めてお会いしたのは2009年のジュニア・スパルタキアード(国体)の後で、私はそこで優勝したんです。ウラジーミル・ウラジーミロヴィチの他に、スポーツ省のヴィタリー・ムトコ大臣もいました。もちろん、ものすごく緊張していました。プーチン大統領が私の方へ近づいて来て、抱き寄せてくださいました。そこで私ははっきり言ったんです。「ソチオリンピックで優勝すると約束します!」って。大統領は微笑んだだけでした。後になって「バカなことを言っちゃった!」と思いました。でも、いったん約束したら守らなくちゃ。後には退けません!
しばらく月日がたって、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチが、今度はノヴォゴルスクスポーツセンターの新リンクのオープニングにお見えになりました。その時は私の方から写真にサインしてもらおうと近づいて行って、そして尋ねました。
「以前お会いしたのを覚えていらっしゃいますか?」
プーチン大統領は丁寧に頷いて答えてくださいました。
「覚えてますよ…」
3度目にお会いしたのはソチ五輪で、そのときには、5年前の約束を果たしたと言える十分な根拠がありました。
― アデリナ、この先はどうするのですか?
わかりません。2018年の韓国のオリンピックのことは考えてもいません。遠い先のことすぎて。ソチで優勝をつかむのもとても大変だったんです。ひと息つかないと。ひとつ断言できるのは、私はタガが外れたりしないということです。そう、インタビューの初めに“色んなこと(栄光の試練)”について質問されましたよね。それは私にはまったく当てはまりません!私はやっていることの価値を知っているし、どんな状況でも自分を保つことができます。私の17歳という年齢を見て判断しないでください。スポーツの世界では大人になるのが早いんです。
今はまだスケートをします。4回転ジャンプの習得にトライしたいです。トゥループかサルコウを。いま女子では誰もやっていません。子どもの頃は3回転半を回っていて、あともうちょっとというところだったけれど、でも、そう感じるだけ。実際には難しいです。それに怖いし。でもトライします。マーシャのために。それに自分のためにも。そう、自分はフィギュアスケートを愛していると、ソチでやっと本当に感じられたばかりなんです。それまでは仕事として接していたのが、突然、至福を感じたんです。だからオリンピックの自分の演技を繰り返し見ています。勝利に酔いしれるんじゃなくて、喜びを長持ちさせたくて。
― 将来は女優になりたいとか?
そういう考えはあります。9年生のときギティス(※ロシア国立舞台芸術大学。ズエワコーチ、バレエダンサーの岩田守弘さんはここの卒業生)の俳優学部にとても入りたくて、準備コースに登録までして3回授業に行ってきたんですけど、試験の準備とトレーニングは両立できないとすぐにわかって。オリンピックまで計画を延期することにしたんです。今なら、もしかすると、またその案件に戻るかもしれません。私には才能があって、演じること、どんな人物にも成りきることができると思うんです。氷の上で私たちも人物像を創っているわけだし…つまり、少し考えて、自己分析して、優先順位をつけなくちゃいけません。だって、コーチにもなりたいと思ったときがあって、それで体育大学へ行ったんですから。頭の中に計画がたくさんありすぎて…
― 毎日“アデリナ”と書かれたリンクへ出るのはどんな感じですか?
実は、もう気にならなくなってます。上の方のバルコニーに掲示されているのが見えるだけで、私は下で滑っているから…
― では、あなたにとってリンク(氷)とは?
寒いです。かたいです。身体を打ちつけて痛いこともよくあります。でも、大好きです。来たときにはいつもこんにちは、帰るときにはさよならを言います。生きている人間に挨拶するみたいに。なぜかというと、私にはわかるからです。もしリンクがなかったら自分はいったい誰になっていたでしょう?リンクは私の肉親です…
インタビューが終わったのは夜10時半だった。私は家路につき、アデリナはリンクへ向かった。その日2回目のトレーニングが始まった…
(終)
<自習メモ>
возьми да скажи=speak one's mind
ля'пнуть (口)うっかり口をすべらす、失言する/強く打つ
на свою' го'лову (言って、して)自分に不利益を招く
перевести дух(дыхание) 深く息を吸い込む/ひと息つく、ひと休みする
крышу сносит: О решительных, очень неразумных, неадекватных мыслях, поведении.
Крышу снесло: поступать опрометчиво, бесшабашно,не контролируя своё поведение. Например:Он выпил столько, что у него крышу снесло!
к слову=кстати
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