ソトニコワ<みんなに忘れられて成長できた(5)>
文中に出てくるバスティアン・ベイカーは、今年2月に来日もしてるんですね。(http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/bastian-baker/)オメガの五輪公式動画を貼っておきます。
― お父さまは厳しい人ですか?
必要なときには口うるさいです。でも、とても善良な人です。聡明だし。学校の勉強で何かわからないときは助けてくれて、必ずきちんと説明してくれました。
― ソチではドミトリー・ユーリエヴィチ(※お父さんの名前)がサポートしてくれたのですか?
いいえ、パパはマーシャとモスクワに残りました。学校を休むわけにはいかないでしょ。オリンピックへはママと叔母さんが来てくれました。パパの従姉妹です。試合前に会えたのは1回だけ。私がオリンピック村から抜け出してホテルへ会いに行って。競技には競技のスケジュールがあって、それに従わなくちゃいけません。オリンピックが終わった今でも、以前と同じテンポで生活して、練習しています。そうする以外にないんです。
― でも、少し手綱をゆるめたのでは?オリンピック前に夢みていたケーキ一切れぐらいは、自分に許したのでは?
ソチ五輪の後、スイスへ飛んでアイスショーに出演したんです。チューリッヒ、ダヴォス、ローザンヌ、モントレー…そこで現地のデザートも食べてみました。何かプリンみたいなもの。美味しかったわ!頭がぼーっとなるぐらい!エレーナ・ゲルマノヴナ(※ヴォドレゾワコーチ)はもちろん規則違反を見て取ったけれど、その分は後でちゃんとトレーニングしました。今年は公式試合はもうありませんが、エキシビションとショーツアーが控えていて、ピーテル(※サンクトペテルブルク)や、他の町へも行きます。5月中旬よりも早く休暇を取ることはできないし、夢みることもできません。
海へ行きたいです。海を初めて見たのは9歳ぐらいのときで、場所はソチでした。そこで合宿があって。そのときに泳ぎも習いました。休暇で海へ行くことができたのは、ママとマーシカと一緒に2回だけです。頻繁には行けませんでした。そんなお金もなかったし。
2009年に2週間ギリシャのハルキディキへ行きました。素晴らしい時間を過ごしました。たしかに、そこでも、寝転んでゆっくり過ごすことはできなかったけれど。空いている寝椅子の場所取りに砂浜を走ったり、強ぎる日差しから避難したりして…
去年の6月はトルコへ行きました。2日ほど肌を焼いて、それから少しずつ、コンディションを失わないようにトレーニングを始めました。それが私の休暇のすべて…今年は少しリラックスできるかもしれません。
― また家族で行くのですか?
そうですね、ママとマーシャと一緒に。その後、友だちとも行けたらいいなと思ってます。
― もしくは、ボーイフレンドと?
それはないです…今のところ二人で過ごしたいと思うような人とは出会ってません。
― じゃあ、アデリナ、“最初の愛”はどうですか?そういう年齢のはずですね。
何かそういうものは去年ありました。いい男の子がいて、気に入って、会い始めました。1カ月続いて、2カ月続いて、そして半年たって…終わりました。私の中ですべてが急に干上がってしまったんです。たぶん、最初の愛はもっと先でしょう。少なくともママや年上の友人たちの話から想像できるようなものはね。ときどきそんな話を聞くと、「わー、すごい!一体いつ私にそんなことが起こるの?」って思うでしょ。
― 今やあなたにとって事態はより難しくなりますね。他人の栄光に浴しようとする人がきっと現れますよ。自分のガールフレンドは五輪チャンピオンだと公言して…
わかります!私自身、それを心配してるんです。正直言ってとても恐ろしいです。もしかすると、私じゃなくて、私のお金や名声に興味を持たれるんじゃないかって。そんな詐欺に引っ掛かりたくありません。私は感じやすくて傷つきやすい人間で、最初にだまされたら、その先、愛を信じられなくなります。私を理解して、受け入れて、支えてくれる人が見つかることを願ってます。まだ出会っていないけれど…
― スイスのファンがソチであなたを応援していた、というような記事を読みましたよ。若者たちのあいだで人気の歌手だとか。
ほんとに?それは、むしろPRだと思います。オリンピックのとき、私とバスティアン(※バスティアン・ベイカー)は流行の時計ブランドのプレゼンテーションに出席して、そこで知り合ったんです。写真撮影をして、プロモーションビデオを撮りました。その後、バスティアンが私に歌を献呈してくれたんです。その歌詞がFollow me! Follow me!で、「僕について来て!」みたいな感じ。まるで私が彼のガールフレンドみたいに。実際にはぜんぜんそうじゃありません。それ以降会ってないし。たしかに、また会うこともあるかもしれないけれど。
― 隣に有名人たちがいて、気後れしましたか?
はい、慣れないうちは。イワン・ウルガントの番組(※おそらくВечерний Ургантというトーク番組。アデリナが出演した回のYouTube再生回数は11万以上)に呼ばれたときは、口をぽかんと開けて座ってました。自分の身に起きていることが信じられなくて。時間が経つとたしかに慣れて、落ち着いたけれど。どうやら普通に、にぎやかに会話できたみたいです。
(つづく)
<自習メモ>
отпустить во'жжи 手綱をゆるめる
у'дочка つりざお
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