トランコフ<フィギュアスケート界はブランコのよう(3)>
― あなたの考えは、ISU(国際スケート連盟)の選手委員会に入ったクリモフと一致していますか?
話し合いはします。でも、僕たちはペア競技に対してまったく異なる見方をしています。彼は少し違う滑りをしていました。僕にとってのペア競技とは、力技、エレメンツの創造性、高さのある良いリフト、高難度のツイストです。ストルボワ/クリモフ組は「ジャンプとスロージャンプ」のペアで、3回転-3回転のコンビネーションをやっていましたが、僕たちの方は3回転-2回転でした。これでいったい何の議論ができるでしょうか?
― それらの相違は二人の友情の妨げになりませんか?
彼は僕の娘の名付け親ですよ。洗礼名をつけてくれたんです。友情は友情であって、競技になればリンクがすべてを決めます。ええ、確かにあいさつもしないライバル選手はいました。でも、それは僕には問題じゃありませんでした。ヴァネッサ・ジェームス、モルガン・シプレとは友人でした。すでに僕はコーチになっていましたが、自分たちが負けたときはいつも一番にお祝いを言いに行っていました。これは友情にとって問題にはなりません。
― ヴァネッサとモルガンの名前が出たのでお聞きしますが、シプレが陥った性的スキャンダルの状況についてどうお考えですか?
誰もが自分の住んでいる、もしくは働いている国のルールに則ってプレーするべきです。ルールを破ればどうなるかを理解するべきです。僕は事の顛末をよく知っています。秘密を明かすことになってしまうかもしれませんが、実は今シーズンが始まる前、彼らは僕のところでトレーニングをしたいと言っていたんです。だから、あのとき何が起こったのかを実際によく知っています。すべてがマスコミの報じている通りというわけではありません。
save sport(スポーツを救え)は必要なことですが、時にいわゆる too much(過剰)になってしまう。すべてがそれほど単純ではありません。確かに阻止しなくてはいけないし、罰しなくてはいけませんが、すべて一義的なものではないのです。モルガンをかばうわけではありませんが、多くの重要なニュアンスの違いや情状酌量の余地があります。ロシアではこういうことはまったく受け入れられませんし、ロシア人にとってそういったことはまったく容認できないものですが。
((つづく))
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