(ズーリンコーチ、メドベージェワ・ザギトワ・紀平選手を語る)
2018年12月14日
エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ
(略)
― あなたはかつて2シーズン連続でエフゲニア・メドベージェワのプログラムをつくりました。シニアに上がると、あなたではなくイリヤ・アベルブフが振付を依頼されるようになりましたが、残念ではありませんでしたか。
それは単に私がモスクワにおらず、イリヤはいるという状況になったからです。そして、メドベージェワのためにプログラムをすべて無料でつくる提案をしたのです。彼は優秀なマネージャーで、ビジネスマンで、多くのショーや地方巡業の興行主ですから、誰かにプログラムを無料でつくるのは何でもないこと。さらに、アベルブフは素晴らしい振付師で、彼がジェーニャのためにつくったプログラムを私は気に入っています。今シーズンのものは、正直言って、今のところそれほど気に入っていません。
― 私の知るかぎり、今シーズンのプログラムを選んだのはジェーニャ自身で、彼女の今のコーチであるブライアン・オーサーではないようです。
何度でも言いたいのですが、他のコーチのところから移ってくるカップルが “私の” カップルになるのは、3年後です。ブライアンはまだジェーニャのことをよく感じ取って理解しているというわけではないのだと思います。だから彼女の希望に応じたのでしょう。振付が良くないとは言いたくありません。むしろ、メドベージェワがまだそれほど準備できていない。当のショートプログラムは素晴らしい演技をしていますが、アシュリー・ワグナーのような選手ならもっとうまく、表現豊かに滑っていたでしょう。私の理解では、ジェーニャは『白夜の調べ』(※2015-16シーズンのSP)であり、『シェルブールの雨傘』(※2014-15シーズンのSP)です。透きとおった、優美なプログラムです。
― 五輪シーズン、皆になじみのスタイルから離れて『アンナ・カレーニナ』を選んだことは、メドベージェワと当時のコーチ陣側のミスだったのでしょうか。
そうは思いません。あれは卓越したプログラムで、卓越した演技でした。アリーナ(ザギトワ)の方が良い滑りをしたことは、誰の罪でもありません。
― 現在、シニアレベルで2年過ごした女子が “天井” に突きあたると、もはやそれより高く跳ぶことはできないという傾向があります。女子シングルのスケーターが大人になってから進歩することは可能だと思いますか。
進歩は可能ですが、そのためには、当のアリーナがもっともっとスケーティングを向上させなければいけません。そうでないと、「ジャンプだけは跳んでいるが、滑っていない」選手だと常に言われるようになってしまいます。私は、たとえば、リカ・キヒラのことをそれほど好きではありません。あまりにも無色だと思うのです。でも、彼女が滑ると “フロー(流れ)” が見えるし、柔らかいひざと美しいスケーティングが認められます。ジャンプの鋭さと爆発力を失わずにスケーティングを向上させるのは、非常に難しいことです。さらに、足に低く “腰かけて” いると、筋肉の疲労がはるかに早くなってしまう。生まれつきとても柔らかい足を持つ日本人の方が楽にできます。ですから、日本の選手たちと競うのは大変です。
(略)
<原文>
https://rsport.ria.ru/20181214/1547980516.html
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