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ロシア語自習室

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チャンはもう釣りに行かないか?(下)

 確かに、チャンはこの4年間で3度世界選手権を制しており、バンクーバー五輪のときはまだ18歳だったことが何だかすっかり忘れられている。1年前、コロラドスプリングスからデトロイトへ移る際、パトリックは母親を連れて行ったが、これをきっかけにリンクでジョークが生まれた。「ねえ、君はお母さんを連れていかなくちゃいけないほどまだ子どもなの?」

 ジョークは、ちなみに、効果を発揮した。このことでチャンと両親との間でどんな会話がなされたのかは分からないが(当時、母親はパトリックが車を持つことを2年間禁じていた。息子はもう運転できる年齢だったのに)、しかし結果として、彼女は初めて息子の遠征に同行しなかった。その上、チャンがカナダのグランプリ第2戦で滑っているとき、彼女は国を出てヨーロッパ旅行へ出かけたのだ。

 ちなみに、バンクーバー五輪を控えた4年前のチャンは、極めて節度の足りない発言で我々の記憶に残っている。それはとりわけ競技復帰したエフゲーニー・プルシェンコに向けられたものだった。そして今回のパリでも、このロシア人ライバル選手に関する質問が出た。

 「プルシェンコが本当に戻ってくるなら嬉しいです」とパトリックは冷静に答えた。「偉大な選手で、彼と戦うのはいつも興味深い。心から彼の成功を願っています」

 ちなみに、選手が自分の能力のピークを五輪の場で発揮できることは、極めてまれだという意見もある。あまりに強いストレスがかかるからだ。この法則がチャンにまで及ばないことを切に願いたい。


 (終わり)
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コメント

No title

いえいえ、フィギュア「読み」には当方も大賛同しますよ。
本来、言語活動一般は、自国語理解においてさえ翻訳行為でしょうから、「読む」試みは不可欠な前提です。
ただし、翻訳し、「読む」べき言語は、民族言語にとどまらない。美術的、舞踏的、音楽的などなどの形象言語も、自語に読み替え翻訳されるものでしょうからね。

ところで、アルトゥニアンのように西側世界に永く漬かっていると、西側文化の害毒にも染まるようですね。
もっともロシア社会にも、ゴリキーの正論と共に、もともとチェルヌイシェフスキーやドミトリエヴァの美学のような物神崇拝(例えば「美」の客観性を実在性と混同するようなエセ唯物論)思想が蔓延っていましたから、原因は商品・貨幣物神の問題だけではないのでしょうが。
ま、いずれにせよ、「西側フィギュア(というより北米フィギュア)」は、もっと自身の被拘束性や幻想を自覚するべきでしょうねw

No title

kalafさん
アルトゥニアンコーチや、ミーシンコーチ、タラソワコーチ、ひょっとすると大多数のロシア人の「比喩」の感覚は、日本人の私には独特すぎてよくわからないことも多いです。でも、すごく面白いと思う比喩もあって、そういうのに出合うと、翻訳って楽しいなあと思うんです。
ひょっとすると私はフィギュアスケートを「見る」ことよりも、「読む」こととの方が好きなんじゃないかと思うことすらあります。ちょっと妙ですよね(笑)。

No title

岩信祐理さん
こちらこそ、いつも素早くて分かりやすい翻訳をありがとうございます!もうお気づきかと思いますが、これはアルトゥニアン・インタビューの一部を切り取って書かれたコラムですね。ヴァイツェホフスカヤ女史の文章は難しくていつも悪戦苦闘です。岩信さんの翻訳を拝見して、自分の訳文をちょっと訂正させて頂きました。ありがとうございました。

No title

それにしても、フィギュアファンには「見物」派が多いですねw たとえそれが五輪の競技精神からどんなに逸脱しているとしても、フィギュア競技とは「見物」ではなく、観賞(正しくは鑑賞)の対象だと思いますよ。じゃなきゃ、衣装も音楽もメイクだって無意味です。
新採点の導入が助長させている物神崇拝が「エレメント」の用語法からシェークスピアの含意を喪失させ、「エレメンツによる表現」を「エレメンツの表現」に矮小化させているにしても、鑑賞は絶対に見物と同じではない!
アルトゥニヤンあたりでも虚構世界による釣りを物理的行動としての「釣り」と同一視してるようですから、近年のフィギュア界のフェテシズムは重症なんでしょうね。「世界最高得点」のインフレ状況も、まことに現世的な順応・迎合主義の産物です。

ISU上層部にもフィギュアファンにも覚醒が求められていると思いますね。

No title

ご紹介有難うございます。
アルトゥニヤンのインタでも「釣りに行く」という表現をしていましたね、定形表現なんでしょうか。
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