<馬鹿はチャンピオンになれない(4・完)>タチヤナ・タラソワ
さて、いよいよ四大陸選手権。全日現地観戦する予定なので、次の更新は少し先になると思います。では皆さま、Пока!
― ザグレブでの女子シングルのメダルの割当てに賛同されますか。
私はカロリーナ・コストナーをとても気に入りました。ローリー・ニコルは彼女に素晴らしいプログラムを用意しました。カロリーナは素晴らしい装いで、素晴らしい身体のラインで、そして素晴らしい滑りをしました。でもルールはあります。私は、プログラム後半でも難度の高いジャンプを跳ぶべきだということに賛同します。リーザ・トゥクタミシェワが跳んでいたようにね。彼女がフリープログラムでトップになったのはまったく公正なことです。
同じくソトニコワもコストナーと戦うことができました。ロシアの女子選手たちがこれほどトップに近づいたことは今までありませんでした。彼女たちにはまだコストナーような深い音楽解釈は見られないかもしれません。このイタリア選手のような経験もないかもしれません。でも、すべて手に入るでしょう。
― ペアのタチヤナ・ヴォロソジャル/マクシム・トランコフ組の優勝をどのように受け止めましたか。
マクシムがあのように滑り切るだけの力をどうやって見つけたのか、私にはわかりません。ターニャについても同じです。あの子たちとはこの話をしませんでしたから(※欧州選手権の直前、トランコフ選手のお父様が急死されました)。この状況でできるのは、二人が成し遂げたことに対しておめでとうと言うことだけです。私生活でどんな悲劇が起ころうとも舞台へ出る。これは、残念ながら、俳優とスポーツ選手の運命なのです。
今回耐え忍ばなくてはならなかったことが全て過ぎ去り、そこから完全に回復することが、あの子たちにとって今いちばん重要です。これは簡単なことではありません。ザグレブで起きたことは戦いの終わりではないことを理解するのが重要です。終わりどころか始まったばかりです。アリオナ・サフチェンコはこれで引き下がるような人ではありません。彼女とロビン・ショルコヴィーは、ヴォロソジャル/トランコフ組に負けず劣らず五輪優勝への闘志を燃やしています。この2組は極めて傑出したペアで、それぞれが大いなる尊敬を受けるに値します。
― それでも、何かヴォロソジャル/トランコフ組の優位性は見えますか。
パワーと内面の力ですね。リンクサイドに立っているとき、そばをターニャとマクシムが全速力で通り過ぎると、二人のエネルギー波に振り払われてしまうような感覚に襲われるのですよ。
― 最後の質問です。五輪チャンピオンのエフゲーニー・プルシェンコがザグレブの試合に出たのは、間違いだったと思われませんか。
間違いだったのは、ショートプログラムで4回転をやめたことだと思っています。代わりにルッツ-トゥループにしたわけですが、これはジュニアの男の子たちが試合で跳んでいるコンビネーションです。そしてたちまち全体的な集中力を失いました。まさにこのせいでプルシェンコはトリプルアクセルで転倒したように思います。こんなことは、私の記憶の限りでは、彼の人生で一度もなかったというのに。練習で4回転をやっていなかったことは理由になりません。練習はまったくの別物です。氷も違いますし、雰囲気も違いますし、アドレナリンもありません。
リスクを冒す必要があったのです。今や状況は非常に難しくなりました。オリンピックで最終グループか、少なくともその1つ前のグループで滑るためには、ジェーニャは来シーズン多くの試合に出る必要があります。世界ランキングを上げるために。
― それよりも弱いグループに入ると、大きな結果を出せる可能性がかなり低くなるとお考えですか。
その通りです。
― では、採点システムに見られる傾向性についてですが、せめて何かポジティブな進捗はありますか。
そのことは考えないようにしています。自分がどのように評価されるかを念頭に置くのは、総じて間違いだと思っています。リンクへ出て、滑って、成果を上げなくてはなりません。それが上手く行けば、他のことも付いてくるでしょう。
(終)
<自習メモ>
уде’л 運命
брать свое 所期の目的を達する、思い通りの成果をあげる
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