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ロシア語自習室

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<馬鹿はチャンピオンになれない(3)>タチヤナ・タラソワ

ジャッジを名指しとはビックリですが、ただここでは、ジャッジを批判するというよりも、ジャッジにスルーされないものをこちらがつくるべきと言っているようにも聞こえます。
タラソワコーチがタカハシ病に感染していたとは知りませんでしたが(笑)、血糖値や高血圧に気を付けて、いつまでも元気に吼えていて頂きたいものです。タラソワ改訂版カルメンも見てみたいです!




* * *

 ― 今回の欧州選手権でいちばん気に入ったのは何でしたか。

 久々にロシアチーム全員の演技を気に入りました。ダンスカップルのトップ2組がそろってクリーンに滑ったのは良かったですね。ただ、いくつかのエレメンツのレベルには疑念を持っていました。試合のとき、私はテクニカルパネル席をちょうど見下ろす位置に座ることになりました。そしてその席から、テクニカル・コントローラーのガリーナ・ゴルドン-ポルトラク(※Halina GORDON POLTORAK)がコンピューター画面上でエレメンツを見逃すところが見えたのです。彼女は、私が注意を払ったまさにそのエレメンツを見逃しました。つまり、私の疑念は根拠の無いものではなかったわけです。

 私たちロシアのアイスダンサーのプログラムは、もっと多様で、もっと“ダンシング”であるべきだと思います。それにプラス、斬新なエレメンツ。アメリカとカナダのカップルには常にそれがあります。ロシアのカップルに何か驚くようなリフトがありましたか?私は思い出せません。ボブロワ/ソロヴィヨフ組はとても美しいリフトを1つ、リンクを斜めに突っ切るかたちで行っていましたが、新しいものではありませんでした。私は、狂喜であっと叫ぶようなエレメンツが見たいのです。

 ― 言い換えると、ロシアのダンスカップルのプログラムはあまり印象に残らなかったということですか。

 プロトコルというものがありますからね(?)。取りあげて見てみましょう。ザグレブでロシアのデュエットは事実上ノーミスの滑りをし、169.25点と169.14点を獲得しました。メリル・デーヴィス/チャーリー・ホワイト組はグランプリ・ファイナルで183.39点、テッサ・ヴァーチュー/スコット・モイア組は179.83点でした。後者には明らかなミスがあったにも関わらずです。

 デーヴィス/ホワイト組は、そのエレメンツでいつも私を感嘆させます。もしくは、ヴァーチュー/モイア組のダンスを掴み取ることです(?)。彼女たちの『カルメン』の解釈には狂喜できないかもしれませんが、私個人的には、振付の観点においてこの作品を気に入っています。私なら何かを違う振り付けにしただろうとは思いますが、それはまた別の問題です。例えば、テッサとスコットの曲のいちばんドラマチックな部分でサーキュラーステップが行われていますが、何かもっと表情豊かで強いものが欲しいですね。でも、彼女たちがプログラムを強化したとして、それでどうなるというのでしょうか。ロシアのデュエットに20点ではなく、30点差をつけて勝つのでしょうか。

 まさにこのことを私たちは考える必要があるのです。リンクへ出たら観客がショックを起こすような仕事をしなくては。そのために手元に残っている可能性をすべて利用しなくては。そうでなければ、競争の話など何もできません。

 ― ひょっとすると、外部から演出家を招くお考えがあるのですか。

 もし力を貸してもらえるなら、そうしない理由がありますか。

 ― 自分の受け持つ選手の口から、あなたではなく、例えばローリー・ニコルにプログラムを作ってもらいたいと聞くのは悔しくありませんか。

 ローリーは素晴らしい演出家です。それは明らかです。少なくとも、私たちはすでに数年にわたってマオ・アサダ用のプログラムを一緒につくっていますから、よく分かります。1つはローリーがつくり、もう1つを私がつくるのが恒例です。この点では他人の作品に対する嫉妬、ましてや羨望などありません。私は生涯で何十ではなく、何百ものプログラムをつくりました。中には観客を総立ちにさせたものもあります。それに、自分が受け持つ選手のプログラムの中に何か別の“手”を見られたらと思うことがしょっちゅうありました。これは、人間が成長し続けるために必要なことなのです。同じ選手と長期間にわたって仕事をするときは特にそうでしょう。

 私は、ローリーがコフトゥンにプログラムをつくってくれればと思っています。でも、まずは彼女が彼を見て、彼に“感染”し(※巻き込まれ)なくてはなりません。かつて私自身がダイスケ・タカハシに“感染”したように。彼が初めて大舞台に立ったときのプログラムは、私のつくったものだったのですよ。

 いま現在の仕事に関して言えば、アデリナ・ソトニコワの今季のフリープログラムをつくったのが私で、ショートはイーラ・ズークの作品です。このことを私はとても嬉しく思っています。というのも、イーラとレーナ・ブイアノワとは同い年で、同僚で、友人で、多くの物事に対して同じ見方をしています。私なら自分ひとりでも上手くプログラムづくりの仕事を処理できただろうに、というのは間違っています。以前のような力はもうありません。まず足を痛めています。それに脊柱の大きな手術の影響もあります。ですから、いま自分に仕事を続ける力があること、自分が係わって誰かに助力できることをただ嬉しく思っています。


 (つづく)


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コメント

No title

りんこさん
コメント欄へのコメント、嬉しいです!ありがとうございます!

ジュニア時代からスコットたちを見守っていらっしゃったんですね。私はアイスダンスの技術はよく分からなくて(シングルの技術もよく分かってませんが)、バンクーバーの頃はドムシャバの雰囲気が好きで応援していました。そのシャバリンがスコットのことを「彼はダンスをしているというより、氷の上で生きているようだ」とコメントしていて、それで彼に興味を持ったんです。2年前にアイスショーでスコットを見て、そして今回の四大陸を見て、「あぁ、シャバリンが言っていたのはこのことか」と分かった気がします。

ぜひぜひ現地観戦を!強く強くお勧めします^^

No title

eco様、いつも貴重な翻訳をありがとうございます。

コメント欄へのコメントとなってしまいますが、
現地観戦された方のスコットの評価、とても興味深かったです。
彼はマッチョではないのに(むしろテッサの方が…以下自重)、ほとんど体格差のないテッサをリードして、あの激しいプログラムを滑りきるって一体どんなだろう、っていつも驚きながら見てます。
しかもアクロバティックなリフトをやっても、すごく丁寧ですよね。
音楽表現のディテールにもすごくこだわりを感じます。
男性に余裕がないと女性を振り回してる感が出てしまいますし、そうなるとリードしてるって感じにはならなくて、ダンス的には…と思ってしまいます。
だから逆説的なんですけど、スコットはすごく上手なんだろうな、と思って見てました。
まだ2人を現地観戦したことがないのですが、現役生活もおそらくソチまでですよね。
国別とGPFは絶対に行かなくては、と決意を固めました(笑)

YYさんのコメントもなるほどと思いながら読ませていただいたのですが、シニアデビュー当時からすごい技術を持ったカップルでしたけど、スケーティングは見違えるほどソフトになって、オリンピックで金をとった後、よくぞここまで進化したものだと、ただただ感心します。

eco様、コメントが記事の内容と外れたものになってしまってすみませんでした。
これからもブログを楽しみにしています。

No title

YYさん
新参者ですがどうぞよろしくお願いいたします(笑)
ダンスのステップ見分け!たしかに、四大陸を現地観戦してできるようになりたいと思いました。日本人でもダンスをやりたいと思う男の子が、昔に比べれば確実に多くなってると思うので、ふだん見る機会され増えればと思います。フジテレビさん、ご一考を!

No title

ECOさん、アイスダンスの世界へようこそ!(笑)
見続けていくと、どんどんステップやら何やら見わけが出来ていき面白くなっていくと思います!そのうちにアイスダンスのステップの見わけ指南書もでてくるかと(ジャンプ種類の見わけみたいに、笑)想像してます。
あとはTVでもっと放送してくれるといいですよね。こういう素晴らしい演技を観たら「やってみよう!」と思う子供もでてくるんじゃないかと思いますが、放送されずもったいなかったです。何のために日本で国際大会をやるのか、未来を見据えた放送であって欲しいですね~。

No title

YYさんも四大陸観戦されてたんですね!4年前もご覧になっていたとは羨ましい限り。スコットはほんとに凄かったですよね。「いったい何が違うんだろう?」って思いながらずっと見てました。とにかく彼一人だけ何かが決定的に違いました。ワールドではカルメンの完成形がきっと見られると思うので、すごく楽しみです!

No title

こんばんは。
私も大阪へ行っておりました。アイスダンス、ハイレベルな戦いになりましたね。私もスコットの滑りは突出してるなぁと感じました。シャープで軽やかで最後まで早い、これはテッサも大変だと思いました(笑)バンクーバーOP前の東京GPFも現地観戦してるのですが、数段上手くなっている印象でした。カルメンは想像以上の激しい振付で、観ていて少し鳥肌がたちました!ワールドでの演技を楽しみにしたいですね。

No title

YYさん
今ごろのお返事すみませんm(__)m
四大陸選手権で念願の生テッサ&スコットと生デーヴィス&ホワイトを見てきました。超楽しみにしていたカルメンは演技中断というアクシデントがあって、私もタラソワ版を妄想するところまでは行けず残念でしたが、あの時のスコットの対応はちょっと怖いぐらいに凄いと思いました。スケーティングの方も、この4人の中ですら頭一つ抜けているように感じて素晴らしかった。
ロシアンにも超頑張ってほしいです!!

No title

こんばんは。
面白いインタビュー翻訳をのせてくださり、本当にありがとうございます。タラソワさんの、この競技への熱い愛情が伝わってくる内容ですね!

タラソワさんの改訂版カルメン?もしやったら凄いインパクトをどこかにもってきそう。見せ場はココですから!っていうアイスダンスプログラムを作ってきましたものね(笑)
あとリフトは本当にキーポイント・・・北米2組のリフトは振付師の発想も凄いけれど、これを出来る選手の技術&パワーも凄すぎます(笑)
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