<ギネスブックに載りたい(上)>エフゲーニー・プルシェンコ
今回、10回目のナショナルタイトルを獲得したプルシェンコ選手。1カ月前に背中の治療を受けたばかりで、回復が思わしくなく、練習では一度も4回転を跳んでいなかったのだとか。その状態でSP、FSともに成功させてしまうなんて…!!
2012年12月27日
ウラジーミル・イワノフ
マリア・ヴォロビヨワ
最終的にはギネスブック入りしたい!
(前文略)
全体として自分の滑りに満足しています。ショートプログラムでは“フレッシュに”滑りましたが、このフリーはちょっと大変でした。背中が痛み始め、そのせいで少し足がたわみ(沈み?)ました。すべてのことを力を振り絞ってやらなくてはいけませんでした。でも、全体的な結果には満足しています。ロシア選手権までの道のりを思い起こすと、僕はほとんど棄権するつもりでした。コンディションがまったく整わず、3回転ジャンプをもう一度回復させようとしていたんですから。今日の時点での理想的な滑りができたと言えます。もちろん、欧州選手権や世界選手権でこんな滑りはできませんけれど。2~3日で回復させて、その後プログラム全体を滑り始める予定です。今いちばん重要なことは、足と背中の重苦しさを取り除くことです!
― フリープログラムにはショートよりも手を焼いたのですか。
ええ、背中が痛み始めましたから。でも掲げていた課題は処理しました。だって4回転をやるつもりすらなかったんですよ!僕がやる必要があったのは3回転半のジャンプとレベル2のスピンで、それ以上のことをせかせか求めてはいませんでした。なのにおまけ付きで全部うまく行ったので、とても満足しています。
― 背中にもう1回針を刺すことになっていると仰いましたね。再び少し後退するということでしょうか。
ええ、今もそうなっています。大会後しばらく後ろへ下がって、速度を落とし、背中を治療して、回復する必要があります。欧州選手権にはとても強い選手たちが来ますからね!僕にとっていちばん重要なのは、どこも痛くないようにすることです。僕たちはフリープログラムを数種類持っていて、そのひとつは70%のジャンプを後半に配置しています。ロシア選手権で滑ったのは当然そのバージョンではありません。でもその方がより面白く見えるので、欧州選手権ではそちらのバージョンをやりたいと思っています。それに、もちろん、2本目の4回転ジャンプも入ってますしね!(微笑む)。それ無しに勝つのは難しいでしょう。
― そのバージョンは、欧州選手権までのトレーニングでまた4回転ジャンプを跳ばずに実現できるものですか。
いいえ、もし素晴らしい気分になったら、4-3-3のコンビネーションを取り戻すよう頑張ります。僕以外には世界でまだ誰もやり遂げていません。そして、もちろん、2本の4回転トゥループも取り戻したいです。背中の状態がそれを許してくれることが重要です。
― 4-3-3のコンビネーションを欧州選手権で取り戻したいとお考えですか。
まずはトレーニングの中でです。すでにここできっかけを掴みました!(※公式練習で)4-3-2を跳んだのですが、それは4-3-3につながるものでした。僕は文字どおりこの2日間、4回転を跳んでいます。今すべてを正しく行えば、下準備をすることが可能です。フィジカル面で言えば、もっとたくさんのことを準備してきたんですよ!シーズン初めにもう4回転サルコウを跳んでいたことが、多くを物語っていると思います。プログラムにはそのサルコウ以外にさらに2本の4回転トゥループを入れる計画だったんです!この怪我さえなければ…
― それほどの怪我を抱えながらスケートをされているわけですが、日々健康を損ねる危険を冒していることを分かっていらっしゃいますか?何があなたを前へと突き動かすのでしょうか。
試合の上等な雰囲気です。僕は3年間試合に出ず、その間、他のスポ―ツの中で自分探しをしました。サッカーやホッケー、テニス、ゴルフをやってみました。でも、そこへ出て行って自分が最高だと証明する必要があるというふうに感じる種目は、ひとつもありませんでした。僕はどうやらそれを心の中で気に入っているようですね。困難を通して、自分に打ち勝ち、何か新しいことをするのが好きなんです。最終的にはギネスブック入りしたいです!僕には夢があります。4回目のオリンピックに出場して、再び表彰台に上がることです。“表彰台に”と言ったのは、ライバルとなる選手たちが強いことを分かっているからです。
ただ、全員が安定した滑りをしているわけではありません。マクシム・コフトゥンのフリープログラムの演技を見ましたが、素晴らしい青年です!ジュニアグランプリ・ファイナルではとても良い滑りをしましたし、練習では申し分ないように見えました。しかし(※本番では)処理できませんでした。同じようなことが他の選手たちについても言えます。重要なのは、神経と感情を処理することです。でも、これが上等な雰囲気なんです!アドレナリンなんです!このおかげで僕は生きているんです。
今回の手術の後、トレーニングで何も出来なくて、僕は大人の男なのに涙を流したんですよ。3回転ループも、3回転サルコウも、3回転ルッツも出来なくて…すべて一から始めなくてはいけませんでした。夏からつくってきた大きな貯えが全てあっさり消えてしまいました。腕がだらりと下がって(気力を失って)、先へ進むことができませんでした。アレクセイ・ミーシン、ダヴィッド・アヴディシュ、ヴィタリー・バルイキンのサポートがものすごく助けになりました。ママがまた練習を見に来るようにもなりました!これらの人たちのおかげで、妻のおかげで、もうすぐ息子が生まれてくるおかげで、僕は自分の仕事を続ける力を見つけられたんです。
(つづく)
<原文>
http://www.team-russia2014.ru/article/7385.html
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