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<死なないカルメン(下)>マリーナ・ズエワ

大変お待たせいたしました、ズエワコーチのインタビュー後編です。
振付についての詳しい記事を初めて訳しましたが、すごく面白いですね。
しかし、ジュニアのストリーミング放送を見ていたら、もう眠くて眠くて…
あまり見直しできていませんが、とりあえずUPします!




 ― テッサとスコットは新しいスタイルに馴染むのに苦労しましたか?時間がかかりましたか?

 いいえ、まったく。才能は才能です。ただ開花させてやり、進歩するためのアイデアを与えてやればいいのです。これほどの才能を開花させ、高いレベルを維持する手助けをしている私たちコーチ陣は幸せな人間ですよ。何年ものあいだトップの座を守り、飽きさせないというのは非常に大変なことですから。でも、あの子たちのプログラムについて「つまらない、また同じだ」という声は、試合でまだいちども聞いたことがありませんね…ええ、私たちは今までこのキーで仕事をしたことがありませんでした。二人はドラマをやったことがなかったのです。氷上でコンタクトを取らずに対峙する、初めてのプログラムです。でも、だからこそ、二人はとても興味を持って滑っています。

 ― この夏、あなた方のチームでまったく予期せぬメンバーチェンジが起こりました。イーゴリ・シュピルバンドとの決裂です。新体制を始動させるのにどれぐらい時間がかかりましたか?

 本当に大変な状況でした。ドラマチックでもあり、悲劇的でさえありました。でも、手元に“子どもたち”が残ると、教師にはきっと母性本能が働くのでしょうね。驚くような速さでメンバーが編成されました。候補者について思案すらしなかったぐらい。すべてが非常にスピーディーに運びました。例えば、マウリツィオ・マルガリオに、すでに他の契約があると知っていながら電話をしたのですが、彼は1週間後にやって来ました。どうやら正しいと言える場面だったようです。

 ― しかし、母国カナダのグランプリ大会では、テッサとスコットにきわめて低い技術点が出ました。そこで私は「なるほど、これらのミスをこれから特に入念に検討していくのだろう」と思ったのですが。

 二人が顕微鏡を覗くような目で見られ、違ったジャッジをされるのは当然のことです。二人は五輪チャンピオンであり、世界チャンピオンなのですから。やむを得ません。でも、もし私のペアにクレームがあるなら、そのクレームをなくすために出来ることを全部やります。あの子たちにとっても、私にとっても、奮い立つ材料になるだけです。スケート・カナダが終わって、私たちはすべての批評を検討しました。例えば、男性は“手と手が触れる”距離以上に離れてはいけないと言われ、ステップに手を入れました。

 ― つまり、単にいつもより早いスタートが切れなかったということでしょうか?二人はフィンランディア杯を欠場しましたが、私の知る限りでは、文字通り直前になってスコットが怪我をしたからだそうですね。

 そうなんです、もうチケットも持っていたのに!でも、フィジカルセラピストからその試合へは行かないよう助言されたのです。首の怪我が深刻だったからではなく、単に8時間という長時間のフライトが回復の妨げになるかもしれないという理由です。グランプリ初戦に間に合うことが私たちには大切でしたから。ええ、確かにカナダでは、申し分のない滑りを見せることはまだできませんでした。このことが口実を与えてしまいました。でも、それにも関わらず、このペアの高いレベルは誰の目にも明らかだったと思います。それに、非常に難しいリフトを練習していたのですからね。去年行ったエレメンツを繰り返すよりも時間がかかります。テッサとスコットは機械ではありません。

 ― ところで、『カルメン』が生まれるには長い時間がかかりましたか?

 長くかかりました。

 ― いつもより長く?

 ええ。音楽を構成するのに非常に時間を費やしました。プログラムを判定する側の人間は、トレーニングでその全体像をいちどに見ることはできません。選手はたいてい部分部分で滑りますから。でも、伴奏はすでに聞こえています。ですから、その伴奏でもう主題の展開を見守ることができるようにするのが大切です。そして、すべてが速く進み、ひとつにまとまった作品ができあがったのですが、今度は各エレメンツを仕上げ、テストしなくてはなりませんでした。私たちは7月5日から練習を始めたのですが、プログラムの準備が整ったのは実質、夏の終わり頃です。

 ― いつもなら1ヵ月ぐらいで作るのですか?

 とんでもない!もっと速いですよ。

 ― あなたの「カルメン」に対する反響を読む中で、これほど素晴らしいダンスをなぜ来シーズンに取って置かないのか、オリンピックで演ずるのにふさわしいのに、と惜しむ声がありましたが。

 ふさわしい、大いに結構!前回のバンクーバー五輪ではこう言われたんですから。「あぁ、マーラーのプログラムはなんて素晴らしいのだろう。これ以上のものなんて出来ない」ってね。でも、ほら、出来てるでしょ。つまり、私たちはこの先も仕事をしていくということです。


 (終)




<自習メモ>
матери'нский инсти’нкт 母性本能
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コメント

No title

ボレロもブルースもヨーロッパペアのアイスダンスでしたから、ライバルの北米の採点が一部ですが厳し目だったかな?と思います。日本人ファンの多くは、採点はほっといて演技を楽しんでましたけれど(笑)
ただブルースの方は最後まで北米に拒否反応があったように覚えています。昨年の高橋選手のFP曲がこれと分かった時、カメレンゴさん、凄い&挑戦するんだ~と個人的には思いました。まあ案の定、北米からはこの曲好きでない・・・とのコメントを翻訳動画で見かけましたけれど(苦笑)

死なないカルメンも、どんどん演技が深まり評価も上がっていくと思います。今でも充分惹きつけますもの、本当に凄いプログラムだと思います!

No title

YYさん
たしかに、高橋君のブルース初お披露目のときは賛否両論飛び交いましたが、トービル&ディーンのボレロのときもそうだったんですね。この後カナダ選手権、四大陸選手権、そして世界選手権と進んでいけば、ジャッジの評価も上がってくるでしょうか?上がってほしいです!

No title

こんばんは。

ズエワさんの気持ちわかりますね~アイスダンスのルール?を超えたような内容ですもの。アイコンタクトをとる、離れて滑る時間まで制限する、なんて時代から観ていると凄い進化だなぁ、モダンダンスの世界まできたなぁと思っています。今はまだ、彼らに時代が追いついていないかも・・・。
今では名作として知られている昔のアイスダンスプログラム、ボレロもブルース(昨年の高橋選手のFP)も演じられたシーズン最初はジャッジの評価は分かれたのを思い出します。今では笑い話のようですが(笑)

No title

ゆきえさん
ズエワさんの「カルメン」への思い入れの深さに、ちょっと圧倒されながら読み終えました。ファイナルであまり点数が出なくて、「メリチャリより良かったのに何故?」みたいな発言をしてらっしゃいましたが、そんなことを言ってしまって大丈夫なのでしょうか(汗)
世界選手権が恐くもあり、楽しみですね!

No title

翻訳ありがとうございます!後編お待ちしていました。
ズエワの振付の話を詳しく聞いたことがなかったので、とても興味深かったです。「氷上でコンタクトをとらずに対峙する」プログラムだとは気づいていませんでした(^^;)
ステップの変更などもスケカナとロシアとよく比べて見てみようと思いました。
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