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<死なないカルメン(上)>マリーナ・ズエワ

ヴァーチュー&モイアの「カルメン」をつくった、マリーナ・ズエワコーチのロングインタビュー。ロステレコム杯で優勝した直後のものです。元パートナーのシュピルバンドコーチの方は、ロシア人の割には(?)あまり自分のことを語らず、上手くはぐらかすような答え方をする印象があるのですが、ズエワさんはとても熱いですね。カルメンのような側面をたくさん持っている女性なのかもしれません。



2012年11月10日
ナジェジダ・バラノワ

マリーナ・ズエワ
私の「カルメン」は打ち負かされずに残る


 (前文略)


 ― マリーナ、あなたは最近のインタビューの中で、「カルメン」をやるというアイデア自体は何年も前からあったと仰っていましたね。

 「カルメン」はテッサを“照らし出す”ためにつくりました。このカップルは最初の頃、スコットばかりが話題になっていました。彼はブルネットで、情熱的で、ダンサーで、いわゆる神の恵みだと。テッサはそんな輝かしいエネルギー論の少し陰に取り残されていました。カナダの連盟の役員たちまでが、私にそのことを指摘してきました。テッサの方を前面に押し出すようなアイデアが必要だったことは言うまでもありません。つまり、女性的なテーマがが必要でした。
 そこで、私はなぜかカルメンのことを考えました。オリンピックシーズンに二人が滑ったオリジナルダンス、フラメンコのことを覚えていますか?あれがすでにカルメンへの準備であり、どのようなアプローチでやるのかという仮縫いだったのです。でもその頃、彼女まだはそういう作品をやる準備ができていませんでした。だってカルメンは、女ですから。真の女です。こういうイメージを描き出すためには、演者として成長する必要がありました。しかも演技力だけでなくテクニックの面においてもです。テッサだけではなくね。

 同意して欲しいのですが、二人が今やっていることは、2年前には恐らくお見せできませんでした。すべてのリフトがこのプログラムのために特別につくられ、この音楽に合わせて配置され、ダンスの各パートの性質が出るように仕上がっています。一度いずれかのリフトを他の作品に移し替えてみてください。そのリフトは意味を失い、ただの倒立になってしまいますから。
 さらに注目して頂きたいのは、それぞれのリフトにおいて、難しいポジションが難しい移動方法でつながっていることです。これは今までになかったことです。まだルールでも数値化されていません。その他のスピン、ツイズルの出、ステップといったエレメンツもすべて新しく、これまでやったことのないものです。非常に難しいプログラムです。そして、このプログラムをつくるためには、内面が成熟しているだけでなく、技術的にも準備のととのった演者が必要だったのです。

 ― 高いレベルのスポーツ選手は常に革新者であるべきだというのが、あなたの立場ですか?

 まったくその通りです。五輪チャンピオンや世界チャンピオンは、ダンスに何か新しいものをもたらすべきです。とにかくチャンピオンになりたいだけの場合でも、去年のリフトをするべきではありせんよね。テッサとスコットも同じです。二人の「ピンク・フロイド」のフリーダンスを思い出してください。あれはいったい何年前でしたか?あのときでさえ、それぞれのエレメンツに革新がありました。

 ― そしてあなたの「カルメン」も伝統的ではなく、革新的ですね。

 昨年、非常にたくさんのジャッジたちが、こんなことを言いに来ました。「テッサとスコットから、何か並外れた、何か普通でないものを見られたらいいのに…ただし、我々がそれと分かるように」と。まさにその時、それはカルメンであるべきだと私は決心したのです。カルメンを分からないジャッジなんているかしら?では、どうやってこのテーマを普通でないものにするか、しばらく考えることになりました。テッサを子ども時代から教えてきたバレエ教師のジェニファー・スワン(?)を招き、このプログラムをつくる手助けをしてもらいました。私たちは膨大な数の資料を調べました。
 ところで、その気があればあなたもインターネットで検索して、私たちがやっているようなカルメンはどこにも見つからないと納得することができますよ。それは私が保証します。もちろん、相通じるような作品や動きはあります。しかし、解釈そのものやプログラム構成、リフトは二番煎じではありません。

 ― 「打ち負かされないカルメン」というアイデアは、すぐに浮かんだのですか?

 では、どうすればカルメンは全体として勝利できるというのでしょうか?彼女の肉体を殺すことはできます。しかし、愛そのものと魂は残ります。私の意見では、このヒロインは女性の熱情と女性の愛のシンボルです。プログラム中盤の音楽の中で、カルメンの死のある種の前兆が進行していることに気づかれるかもしれません。しかし、それにも関わらず、私のカルメンは打ち負かされずに残ります。
 もっとも、作品の結末について言えば、もうひとつ局面がありました。ISUのルールでダンスプログラムにはuplifting、つまり精神的高揚がなければいけないと定められていることに当惑させられたのです。でも、ヒロインが破滅する場面にどんなupliftingがあるというのでしょうか?長いあいだ思い悩みました。まだ見ぬプログラムを肌で理解するために、私自身がカルメンになる切る必要がありました。そうして、このようなラストシーンが生まれたのです。

 (つづく)



<原文>
http://www.championat.com/other/article-142993-marina-zueva---o-pare-tessa-vertju-i-skott-moir.html
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