<試練は一度きりで終わらない(下)>タチヤナ・タラソワ
毎年毎年のルール変更についてはトランコフもかなり怒っていました。
あまり変更しない方が連盟も楽なのではないかと思うのですが…
― ロシアのアイスダンス選手たちのトレーニングをよく見に行かれていますね。今シーズンはどんな状況になるでしょうか。また、それを評価するとすれば?
その話題はあまりこと細かに話したくはありません。試合が始まるのを待ちましょう。
― いま誰に大きく注目していますか。
私はヴェラ・バザロワ/ユーリ・ラリオノフ組のショートプログラムを作り、トレーニングの手助けをし、そしてこの仕事にヤナ・ホフロワを積極的に参加させました。
― ヤナがアイスダンス以外の選手と仕事を?
彼女は何よりもまず、必要とされている場所で仕事をします。アンドラの合宿では、レーナ・ヴォドレゾワ(筆者注:ブイアノワ)のグループの選手たちとの仕事に精を出し、リャザノワ/トカチェンコ組のリフトのことでは、アレクセイ・ゴルシコフを手助けしました。このカップルをシュピルバンドのもとへ送り出すにあたり、私たちは事実上10種類の新しいリフトを用意して持たせたのです。イーゴリがその中から選べるようにね。
私の方はというと、常にヤナを教えようと努めています。彼女にはコーチを職業にしようという目標があって、この職を理解しているようです。これはとても大切な資質です。自分自身ではなく他の誰かに向かって仕事をする場合、すべての選手がそれを出来るとはまったく限らないのです。
(中略:コフトゥン選手、新リンクの計画について等)
― 1年前、アデリナ・ソトニコワについてお話を伺ったとき、成長期の関係から、彼女の人生において最も困難なシーズンになるかもしれないと仰っていましたね。この選手との仕事は今も続いていますか。
アデリナのコーチから頼まれたときだけね。彼女にはフリープログラムとエキシビションナンバーをひとつ作りました。
― 昨シーズンは「ボレロ」という非常に豪華なプログラムを作られましたが、アデリナはそれを自身のベストではないシーズンに、ほんの短い間しか滑りませんでした。残念に思われませんか。
彼女はボレロをエキシビションプログラムのひとつとして残しました。衣装を変えたら、さらに良いものになりました。この夏に日本のショーへ行ったとき、観客たちがこのプログラムでみんな立ち上がったのですよ。
― ということは、成長期の試練は過ぎ去ったと言えますか。
試練というものが一度きりで終わることはありません。ひとつ終わるとまた別の試練がやって来ます。でも、アデリナは良いトレーニングを行い、良い成果を出しています。彼女は別人のようになっています。
― マオ・アサダもこの夏あなたのところへ来たのですか。
ええ。彼女にフリープログラムを作りました。その後マオはもう一度やって来ました。というのも、国際スケート連盟の技術委員会が例によって夏にルール変更をしたので、新しい要求を考慮して作り直すはめになったからです。我らが技術委員会は、ほとんどのプログラムが5月に作られるということを何故か深く考えていないので…
これについては、オッタヴィオ・チンクワンタ(筆者注:ISU会長)に手紙まで書きましたよ。例えどのようなものであっても、オリンピックの1年前にルールに変更を加えるのはあまり正しいとは思わない、とも書きました。ちなみに、イリーナ・ヴィネル(※ロシア新体操連盟会長)とこの話をしたとき、新体操のルール変更は五輪の2年前にすべて凍結されると言っていました。この方がはるかに正しいと思います。
今回の変更に関する提案は、私の知る限りでは、カナダのコーチが持ち込んだそうです。そのコーチについている生徒の名前は言えませんよ、知りませんから。私は、変更の必要性の説明方法に愕然としたのです。「ジャッジが判断しやすくするため」と言うのですよ。創作的(コレオ)シークエンスと、技術的(ステップ)シークエンス(?)の見分けがそんなに難しいなら、ジャッジは家に居ればいいのです。
― 話はアイスダンスに戻りますが、私たちはこんな会話をし初めています。ロシアのダンスカップルの中で、今シーズンあなたが個人的にプログラムを作るとしたら一体どの組だろうかと。
何らかの予想をするのもはばかられます。代表チームの3番手をめぐっては恐ろしい争いになります。長い間見たことがないようなね。いいえ、3番手争いだけではありませんよ。他もすべて同じです。誰かをひいきしたり、目を掛けたりする必要はありません。必要なのは、選手が自分たちの間で片をつけるのをただ見ていることです。正直なところ、この争いがどう決着するのか想像もつきません。
(終)
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