<日本冒険記>アリョーナ・レオノワ(下)
ロシア語サイトをあちこち見ても“какигори (kakigori)”なので
ロシアではまだまだ知られていない「日本食」のようです^^
移動の翌日、私たちは地元のお寺の見学に向かいました。約2時間の散策。でも、私にいちばん深い印象をもたらしたのはお寺の美しさじゃありません。もちろんそこは信じられないような場所だったんですが。散策も終わりに近づき、もう敷地から出ようとしているときに小中学生ぐらいの子どもたちのグループに遭遇して、そこでビックリ体験をしたんです。子どもたちがマオ・アサダを見つけたとたん、「マオ、マオ」と叫びながら我先にと彼女の方へ突進して行って。サインをせがむ子や、ただ(手を伸ばして)さわろうとする子…彼女がどれほど人気があるかすぐにわかりました。文字どおり日本の隅々までなんですね!
散策の後はみんなでトレーニングに行きました。氷を試すためです。そしてリハーサルの後は、氷を“試食する”機会が訪れました。「かき氷」という名前のデザートをごちそうになったんです。見た目はとても変てこ。大きなデザート用のグラスに、薄く薄く削られた氷が入っていて、てっぺんに好きな味のシロップをかけます。食べてみたらとても美味しくて。時にはこんな変わったデザートをちょっと楽しむのも、目先が変わって良いかもしれません。
日光公演について言えるのはただひとつ。お客さんが名古屋に負けず劣らず温かかったことです。全公演が熱狂のうちに過ぎました。
そして、新しい街、新しい印象。大阪です。ここは日本で2番目に大きな街で、会場も前の2つの街に比べてはるかに大きかったです。大阪の第1日目は半日オフだったので、トレーニングが終わると、私とアデリナと彼女のコーチ、エレーナ・ゲルマノヴナ・ブイアノワとでショッピングに出かけました。中心街で夜遅くまで過ごしたんですよ。もちろん新しい(服や靴など)を買って楽しみました。次の2日間はまるまるショーで忙しかったんですが、うち1日は私の記憶に永遠に残るでしょう。実は、各公演の第1部終了後に、主催者がリンクに何か小さなスタンドのようなものとイスを置いて、そこにスケーターが座ってインタビューを受けるということをしていました。そこで、私とアデリナが最後の大阪公演のゲストとして指名されたんです。いわゆるお口直しとして。質問の内容は事前に知らされていて、私たちは一晩かけて準備しました。だって、単に英語で話したり友だちとお喋りをするのと、こんなにたくさんのお客さんの目の前でインタビューに答えるのとはまったく別物ですから。でも、結局トークショーはぜんぜん怖くなかったです。むしろ気に入ったぐらい。
千秋楽も成功に終わって、主催者が私たちをレストランへ連れて行ってくれました。ホテルに着くと、カメラやプレゼントを持ったファンたちが待ち受けていました。夕食の後はみんなお互いに別れの挨拶をして、新しいシーズンの成功を祈り合いました。ところで、今回の日本のショーでは、試合でほとんど交流のなかった選手たちと親しくなる機会を持てました。たとえば、メリル・デイヴィスはとてもかわいくて人懐っこいとわかりました。そう、たくさんのメンバーと友だちになったんです。そしてアメリカへ戻って、ニコライ・アレクサンドロヴィチとプログラム作りをしました。
さて、謎めいてきたところで、私の日本冒険記を終わりたいと思います。皆さまには興味深く読んで頂けたでしょうか。今度はもうすぐモスクワへ行きます。あっという間に月曜日が来ればいいのに。ロシアがとても恋しいです。
(終)
- 関連記事