<"ふるえ"はなかった>エリザヴェータ・トゥクタミシェワ
カナダ大会後のリーザ選手のインタビューをご紹介します。
ところで、とっても覚えにくい彼女の名前についてですが
ミーシン教授が発音していたのを無理矢理カタカナにすると
「トゥクタムィーシェワ」がいちばん近いように思います。
ますます覚えにくいですね(^^;
2011年11月1日
エカテリーナ・クリニチェワ
先日、14歳のロシアの少女が初出場の「グランプリ大会」で優勝し、スケートカナダの勝者となった。
トゥクタミシェワがこれほど輝かしいシニア・デビューを果たすとは、おそらく誰も予想していなかっただろう。彼女のコーチのアレクセイ・ミーシンでさえ大会直前にこう言っていたのだ。「彼女たちは1位になる準備もできているが、失敗する準備もできている」と。
優勝から丸一日経って、私たちはトゥクタミシェワと話をすることができた。エキシビションの後だ。大会を締めくくるショーまでの間、エリザヴェータはほとんど一日中リンクにいた。まずトレーニングを行い、その後は最終種目であるアイスダンスの試合を見守っていた。
― 優勝おめでとうございます。ただ、あなたは当然休みを取れたはずなのに、朝からトレーニングに向かいましたね。なぜですか。
エキシビションの準備をするためです。
― 試合が終わった瞬間のあなたの反応は、非常に冷静なものでした。何が起こったのかすぐには分からなかったのでしょうか。
はい。自分が優勝したということを、実際によく理解していなかったんです。
― 今はどうですか。丸一日たちましたが。
よく分かりません。試合の後はいつもこんな感覚で。いわゆる何かセンセーショナルな感じはありません。ふだんと同じ、競技が終わった後の気分です。
― 得点が発表されても、あなたはキス・アンド・クライの隅っこで少し呆然としていて、そこでスヴェトラーナ・ヴェレテンニコワコーチが「ほら、お客さんに挨拶して」と、少し背中を押さなくてはいけなかったように見えましたが。
はい、そのとおりです。こういう状況にはまだ何だか慣れなくて。
― カナダへ出発する前、自分が優勝するイメージを思い描いていましたか。
優勝については考えることすらありませんでした。私に必要だったのは、リンクへ出て、自分に出来る滑りをすること。順位や表彰台のことはぜんぜん考えていませんでした。
― かなり緊張しましたか。
緊張はもちろんありましたが、ふだんの試合のときと同じです。特別なものは何もありません。
― 大会が終わった途端、あなたの「ジュニアの試合とシニアのグランプリとの差は感じなかった」という趣旨の発言があちこちで話題になりました。実際にそうなのですか。
もちろん、ちょっぴり違う感じでした。でも、大きな差は本当に無いと思いました。
― その「ちょっぴり」の差というのはどこにありますか。
よく分かりませんが、こういう選手たちに勝てたということで、やっぱり喜びがより大きかったんだと思います。ジュニアの試合なら優勝を予想することができましたが、今回はできませんでした。計画していなかった優勝だったので、私によりたくさんのエモーションをもたらしてくれたんです。
― では、スケートカナダに向けてどんな計画を立てていたのですか。
1位から5位に入ることです。5位以下になるのはいやでした。
― お祝いの言葉はもうたくさんもらいましたか。
(疲れたように)はい。
― カナダでは、「シニアデビューの年にプレッシャーを感じていないか」と何度も質問されたんですよね。
その通りです。
― 「いいえ、感じていません」と答えたと聞いていますが、そうなのですか。
本当は少し違うことを言おうとしました。プレッシャーはもちろんあります。でも、そこに気を取られて、そればかり考えてしまうと、何もうまく行きません。だからプレッシャーのことは気にせず、考えないようにしているんです。
― ショートプログラムで素晴らしい演技をした後、フリーまでの丸一日間は大変だったのではありませんか。
逆にとても落ち着いて過ごしました。ショートプログラムで1位になったことがすでに嬉しかったので。もしフリーでうまく行かなかったとしても、ショートで勝てたことを喜んでいたと思います。だから、ふるえたりはしませんでした。
― スヴェトラーナ・ヴェレテンニコワコーチは、あなたの気を紛らわせようとしたり、何か仰ったりしましたか。
気を紛らわせたり、緊張を解こうとするのではなく、ただ私を支えようとしてくれました。落ち着いてリンクへ出て、自分のするべきことをして、調子を乱さずに滑ることができるように言葉をかけてくれました。私は何もけた外れのものを求められているわけじゃありません。あ、ジャンプについての説明はありました。
― 試合後はどうでしたか。
何も。お祝いの言葉をたくさんくれただけです。「よくやった」と言ってくれました。コーチなら誰でも普通にすることです。
― ということは、カナダ大会の結果分析はまだしていないのですか。
していません。もちろん、もっと良い演技ができたことは分かっています。でも深い分析はまだです。
― あなたが結果に満足しているのは当然のことですが、それと同じように、今の時点で自分の滑りについて何か言うことはできますか。
さらに良い、さらに強い滑りができただろうとは思います。そうですね、90パーセントか、それ以上(自分の演技に)満足しています。
― さらにプラスできる要素というのは何ですか。
スピンと、全体的な構成点。それにジャンプ。フリープログラムでダブルアクセル-ダブルトゥループを跳びましたが、本当はダブルアクセル-トリプルトゥループができたはずです。
― アレクセイ・ミーシンは一緒にカナダへ来ることができませんでした。隣にいたのはあなたのもう一人のコーチだけでしたが、自分に自信を持つことに影響はありませんでしたか。
そうは思いません。スヴェトラーナ・ミハイロヴナは子どもの頃から練習をみてくれているので、一緒にいるととても心地よく感じます。もちろん、アレクセイ・ニコラエヴィチも来ることができれば素晴らしかったんですが、ちょっとうまく行かなかくて。でも、そのせいで良い滑りができなくなることはありませんでした。
― ここ数年間、毎月10日ほどずつ、故郷のグラゾフからサンクトペテルブルクへ練習に通っていましたね。それが、今シーズンが始まる前にペテルブルクに定住するようになりました。シニアへの移行がその理由ですか。
実はずっと前から計画があったんです。ちょうどそれがうまく行って、
私たちは引っ越しました。
― 私たちというのは、ご自身と、お母さんと、妹さんと、スヴェトラーナ・ミハイロヴナのことですか。
はい。今は全員サンクトペテルブルクに住んでいます。
― 引っ越しと“シニア(大人)”への移行に伴って、ほかに何か生活に変化はありましたか。
いま新しい学校に慣れようとしているところです。そこは(正規の授業を受けなくても)検定試験で進級できる学校で、出される課題がかなり多いんです。でも、そのうち軌道に乗って、順調に行くようになると思います。
― スポーツ専門の学校ですか。
そういうわけでもなくて、スポーツ学校ではありません。普通の学校に通えない子たちを教えていて、各生徒を個人的に指導してくれるんです。それで、生徒は勉強している部分をより良く理解できるというわけです。
<原文>
http://winter.sport-express.ru/figureskating/reviews/17497/
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