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<世界選手権2011女子シングル(2)>アレクセイ・ティホノフ

5/11 「職人」という訳が適当ではなかったので、訂正・補足説明しています。


ティホノフさんの日記より、安藤選手とキム選手についての感想です。




 1位になった日本のミキ・アンドウは、彼女自身のベストではないにせよ、全出場者の中で一番の滑りをした。事実上ノーミスだった。確かに、トリプルルッツ-トリプルループは跳ばず、ダブルルッツにとどめはした。でもこれは別に恐ろしいことじゃない。もし僕とマリア(※マリア・ペトロワのこと。彼のパートナーで妻。一緒にテレビ観戦していたそうです)が「ミキは演技をしていたというよりも、仕上げをしていた」という印象を持たなかったならね。実際、彼女はすべてのジャンプをきれいに決め、スピンも素晴らしかった。でも、残念ながら今回の彼女の滑りには、エモーションも、本当に芸術的な滑りというものもなかった。そう、彼女が特に得意としているものがなかったんだ。少なくとも、マーシャ(※マリアの愛称)にも僕にもそういうものは見えなかった。だから僕らは、これは完全なチャンピオンの滑りではないと思った…



 2位になった韓国のヨナ・キムは、単に驚くべき選手というだけじゃない。僕が思うに、彼女は天才的なスケート職人スケーティングの良い選手(※)だ。最近の女子シングル界では、疑う余地なく彼女が一番だ。非常にスピードがあると同時に、音のしない、柔らかで、表現豊かなスケーティングの賜物だ。こういう選手には、そして五輪チャンピオンには、いつだって多くを期待するもの。そして、その期待が大きければ大きいほど、落胆も大きくなる。

 ヨナ・キムはコンビネーションジャンプでミスをし、トリプルサルコウ-シングルトゥループになってしまった。次にフリップが1回転になり、さらにミスが出て…それでも、「どんな滑りをしようと私には1位が与えられる」という確信が見られた。なぜか僕はそんな印象を受けた…しかし、今回はミキ・アンドウよりも低い得点が付けられた。これは公正だ。

 もしかすると、僕の期待が外れたのは、「ヨナ・キムは技術においても、そして最も重要である芸術性においても、全く別次元のスケートを見せることができる」ということを知っていたからかもしれない。起こってしまったことの原因はいろいろ考えられるが、とやかく言うのはやめておこう。つまり、オリンピックの優勝者がその翌シーズンに多少低迷するのは、一般的によくあることなんだ。とはいっても、このレベルのスケート職人なら、ブランドを保持して、そこから落ちるべきではないと思う。少なくとも表現力においてはね…


※原語はкатальщик/катальщица(女性形)。ダンサー、ジャンパーと対比的に使われる言葉で、“スケーティングの上手い人”ぐらいの意味のようです。ロシアのファンサイトでこのタイプのスケーターとして名前が挙がっているのは、チャン、バトル、ランビエル、プルシェンコ、ベルネル、高橋大輔、小塚崇彦、キム・ヨナ、コストナー、浅田真央等です。
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コメント

No title

るしーさん
ご家族の方は、ひょっとすると、近くにるしーさんがいるから安心していらっしゃるのでは?特に自分から調べなくても、反対意見を知ろうとしなくても、るしーさんから全部教えてもらえるから大丈夫!みたいな。どうでしょう??

私もシブタニズはすごく好きです。とても清潔感がありますよね。うちの両親なんかは、やはり世代的なものが大きいと思うのですが、アイスダンスはちょっと気持ち悪いって言うんです。でも、そんな古い日本人にも受け入れられそうな、爽やかなダンスだと思います。これからがとても楽しみです。

No title

サレーペルティエ組は年始めのSOIをテレビで見て、保たれっぷりにビックリしました!かっこよかった。
私もエレナアントンの方がだんぜん好きですし、OPのあれは嫌な出来事だと思いますが、本当に僅差だったからああなってしまったんだなあと改めて思いました。

アイスダンスの細かい技の数々は、解説者もいちいち言ってられないほどなんではないかと、だからわかりにくいんじゃないのかなあと思います。
でもシブタニズは素晴らしかったです。目が点になりました。気持ちまでスカッと晴れ晴れする綺麗な滑りでした。

我が家の人間は掲示板やブログなど、匿名な人の書いた、自分のお気に入りの選手に都合の良い解説は熱心に読みますが、一般の技術解説本などは薦めても一切読まないです。
ですので、採点についても全然わかっていなくて、
スタート位置に付く前から楽しい指揮者の演技をしているコンテスティよりも、チャンのPCSが低いのがおかしいと本気で信じていたり。
PCS=芸術=アーティスティックな演技の評価と、勘違いしているんですね。
わからずに、わかろうともせずに批判をする人間も結構多いと、知ってほしいなと思いまして。長々お邪魔しました!

No title

YYさん
アイスダンスは、音楽や衣装が華やかなので、観ていていちばん楽しいです。ただ、順位のつき方や得点の出方はシングル以上にわからないですねぇ。シブタニズは個人的に好きなんですが、例えば、イリニフ組よりも上手なのかどうかはよくわからないんです。スタビスキーは「シブタニズはまだジュニアの滑りなのに」と大変ご立腹でしたし、モロゾフは「ジャッジはツイズルしか見ていない。ロシア組と北米組に大した差はない」みたいな発言をしていました。私も一度アイスダンスをしっかり生で観戦してみたいと思います。

そうそう、イリニフ組がズーリンの元を去り、モロゾフのところへ移るらしいですね。お互いに不満があったようで、双方の申し分が食い違っているのが気になりますが…こちらも好きなカップルなので、成功して結果が出ることを祈っています。

No title

こんばんは。
この項何度も投稿してすみません。アイスダンスの記事をみて懐かしくなりましたので。(笑)

かなり前のNHK杯のアイスダンス解説ですが、スケーティング解説(これは今も参考になってます)や音楽の説明(当時はボーカル入り×でした)、衣装への駄目だしコメントまであり(衣装デザインがフィギュアの中で当時多分一番アバンギャルドでした)、母や妹と楽しんでたことを覚えてます。振付も演技も楽しめたので、私はアイスダンスからフィギュアスケートファンになったと思います。

昨年のNHK杯でアイスダンスのシブタニ兄妹の演技を初めて現地観戦したのですが、スケーティングの軽やかさ滑らかさ緩急のある早さ、しっかりとエッジを使っているのに力強い印象を観客にもたせない、その凄さにびっくりしました。多くの観客もそう思ったのでしょうね、演技後は「ほ~」という溜息が会場のあちこちから出ていました。TVでは分からないことが、現地観戦して良く分かることってありますよね…私は今もファン街道を突き進んでます(笑)

No title

るしーさん
あ、「2回コケ」ではなく「2回すっぽ抜け」の間違いです!ヨナ選手、すみません!
私は完全に日本人の血なんですが、近所に韓国籍の方がいて、自家製のキムチとかサムゲタンなどをよくもらうんですよ。食習慣も違うし、しょっちゅう韓国へも行かれているので「あぁ、韓国の人なんだな」とは思いますが、私にとってはふつうの世話好きな近所のオバちゃんで、それ以上でも以下でもないという感じです。ちなみに、そこの娘さんのことは好きですが、息子さんは苦手(笑)。あくまでも、そのひと個人ですね。国籍や血筋というのは、その人の大きな一部分ではあっても、本質ではないと思いますから。

本田君は、現役の最後あたりの試合をいちど観たことがあります。演技全体の出来は良くありませんでしたが、1本だけものすごく美しいトリプルアクセルを跳んだんですよ。選手がジャンプを決めたとき、ふつう観客は「きゃー!」という感じで拍手するものですが、その瞬間だけは会場全体が「はっ」と息をのんだんです。その息の音が響きわたるぐらいに。あれはまさしく達人のジャンプだったと思います。

と、なんだかエラそうなことを書きましたが、実は私もつい最近まで、サレー/ペルティエ組のことを大した理由もなく嫌っておりました。「ベレズナヤの方が美しいんだから仕方ないでしょ」なんて、ひどいことも思ってました(汗)。でも、去年の二人のショープログラムがすごくカッコ良くて、純粋に素晴らしいと思ったので、やっとそこで長年の偏見から抜け出せた気がします。
本当に難しいですねぇ、フィギュアスケートは。でもその魅力に抗えず、ますますファン街道を突き進んでいる私です^^

No title

YYさん
ありゃ、職人の方が良かったですかね?まぁ、広い意味での「職人」で間違いではないと思うので、完全に消さずに訂正線のまま置いておくことにいたします。
私は07年の世界選手権のEXで、一度だけキム選手を生で観たことがあります。本当に妖精のように可憐で、個人的にはランビエル選手の次に(笑)印象的だったんです。それから4年経って自分がどう感じるのか、東京で観られるのを楽しみにしていたんですが、叶いませんでした。是非どこかでもう一度観たいなぁと思っています。

No title

特にアリランはもっとこなれたものを観たかったですね。
もっと本気のいいものを見せてほしかったです。

eco家の会話のまともなこと・・(でも転倒2回?)
我が家の人間は・・ヨナ選手以外でも、韓国のかの字だけで目の色を変えるので・・いわゆる"right"なのです。
好みはそれぞれで、好きではないというのは当たり前にありですよね。私自身ヨナ選手が大好きではない。でも不当にその技能すら全否定して即「はい、八百長」とだけ評価するのは、人としておかしい。それは彼女だけでなく他選手にも失礼なことです。
本当にまともな評価をしているコメントなどに接すると、心が洗われるようです。

それと、職人や達人という表現はとても褒め言葉だと思います。美しい滑りは、顔立ちや衣装、振り付けの美しさに大いに勝ると思います。スケート競技なのですからそれが評価されるのが当然で、選手にとっても嬉しいことだと思います。
以前、フィギュア好きな友人に本田君の綺麗なスケートの話をしたところ、「顔がダメだし地味だから良いと思えない」と言いました。そんな風にしか見れないのかと残念でした。
かといって、萌え要素も大事な魅力であるのは、非常にわかるんですけどね。
なんて難しいんでしょうね。フィギュアスケートは。
私は、競技に関しては公平な目で見たいと思います。
長々すみません!

No title

こんばんは。
翻訳の訂正補足ありがとうございます。でもティホノフさんの真意からは最初の訳であっていたような・・・気がします(笑)

キム選手の凄いところは明確なエッジ遣いでの力のある早い滑りですよね。ただ演技は、こういう力強い滑りになる少し前のSP「こうもり」のような軽やかなものが好きでした。「あげひばり」もスケーティングの柔らかさが光ってとても良かったので印象に残っています。ああいうのを私もまた観たいです。

No title

るしーさん
キム・ヨナ選手のフリーを見て、うちの家族で交わされた会話は、

「良かったけど」「もっとスゴイのが来ると思ってた」「ちょっと拍子抜けというか」「オンピックのボンドガールがインパクトありすぎたね」「あれを初めて見たときはビックリしたもんね」「あれ以上のものって難しいだろうね」「すごく綺麗なんだけどね」「ミキティより好きだけどね」「いや、スポーツだから2回コケて優勝はダメでしょ」「ショートのミキティは良かったんだけどね」「アリランで集大成にしたかったのかな」「でもちょっとテーマが大きすぎたかな」「やっぱりオリンピックが良すぎたね」「うーん」「うーん…」

こんな感じでした。私自身は「あげひばり」が大好きなので、ああいうのをもう一度見たいなぁと思っています。

No title

確かに圧倒的に誰もが感激という演技ではないかもしれないですけど、ちょっと期待が大きかったんでしょうね。

ヨナ選手のスケート技術については、スケーターなど専門家の評価と一般の人のそれとの差にいつも不思議さを感じます。一般の人の中には、全く低レベルでトップ選手の実力すらないにも関わらず、買収によって点を得ているという評価ですよね。
どちらを信じるかといえば、やはり専門家と自分の目です。
今回は一発本番で未完成な演技でしたが、ジャンプもスケートもすごいと思いました。間違いなく名手だと思います。

No title

YYさん
日本の報道で「チャンや小塚のようないわゆる“職人”が~」みたいな記事を見かけたので、「職人」と訳したんですが、YYさんからコメントを頂いてからどうも気になってきて、いろいろ調べてみたんです。するとどうやらちょっと訳しすぎだったようで、上記のとおり訂正・補足させて頂きました。申し訳ないですm(__)m

でも、「芸術面はロシアだ!」っていうのは、すごく感じますよね。愛の夢よりもシュニトケで、高橋大輔をアーティストにしたのはモロゾフなんですよね。100%賛同とはいきませんが、すごく面白いです(笑)

No title

こんばんは。

ロシア発の記事はどれも興味深く面白いですね。いつも翻訳ありがとうございます。
今回の女子1位2位は、ベストの演技ではなかったかもしれないけれど私には見応えありました。ティホノフさんの印象と違いますね。どんなに優秀な選手でもワールド一発勝負では、SPかFSどちらかが良くなく優勝できない・・・子供の頃からこの競技のファンなので、似た状況のワールドも何度か観てきています。今回もどうなるんだろうと、どきどきしながら観ていました。(笑)

それにしても今度はキム選手はスケート職人? Pチャン選手はスケートの達人でしたよね(笑)演技する人間にとってはあまりありがたくない言葉のような・・・こうした言葉に「芸術面はロシア」(または外国人でもロシア人コーチに習った選手?)という誇りが感じられ面白いです。
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