<世界選手権2011女子シングル(2)>アレクセイ・ティホノフ
ティホノフさんの日記より、安藤選手とキム選手についての感想です。
1位になった日本のミキ・アンドウは、彼女自身のベストではないにせよ、全出場者の中で一番の滑りをした。事実上ノーミスだった。確かに、トリプルルッツ-トリプルループは跳ばず、ダブルルッツにとどめはした。でもこれは別に恐ろしいことじゃない。もし僕とマリア(※マリア・ペトロワのこと。彼のパートナーで妻。一緒にテレビ観戦していたそうです)が「ミキは演技をしていたというよりも、仕上げをしていた」という印象を持たなかったならね。実際、彼女はすべてのジャンプをきれいに決め、スピンも素晴らしかった。でも、残念ながら今回の彼女の滑りには、エモーションも、本当に芸術的な滑りというものもなかった。そう、彼女が特に得意としているものがなかったんだ。少なくとも、マーシャ(※マリアの愛称)にも僕にもそういうものは見えなかった。だから僕らは、これは完全なチャンピオンの滑りではないと思った…
2位になった韓国のヨナ・キムは、単に驚くべき選手というだけじゃない。僕が思うに、彼女は天才的な
ヨナ・キムはコンビネーションジャンプでミスをし、トリプルサルコウ-シングルトゥループになってしまった。次にフリップが1回転になり、さらにミスが出て…それでも、「どんな滑りをしようと私には1位が与えられる」という確信が見られた。なぜか僕はそんな印象を受けた…しかし、今回はミキ・アンドウよりも低い得点が付けられた。これは公正だ。
もしかすると、僕の期待が外れたのは、「ヨナ・キムは技術においても、そして最も重要である芸術性においても、全く別次元のスケートを見せることができる」ということを知っていたからかもしれない。起こってしまったことの原因はいろいろ考えられるが、とやかく言うのはやめておこう。つまり、オリンピックの優勝者がその翌シーズンに多少低迷するのは、一般的によくあることなんだ。とはいっても、このレベルのスケート職人なら、ブランドを保持して、そこから落ちるべきではないと思う。少なくとも表現力においてはね…
※原語はкатальщик/катальщица(女性形)。ダンサー、ジャンパーと対比的に使われる言葉で、“スケーティングの上手い人”ぐらいの意味のようです。ロシアのファンサイトでこのタイプのスケーターとして名前が挙がっているのは、チャン、バトル、ランビエル、プルシェンコ、ベルネル、高橋大輔、小塚崇彦、キム・ヨナ、コストナー、浅田真央等です。
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