<ロシアのスケーターが飴で育てられたことはない(中)>アレクセイ・ウルマノフ
4/24 19:30 すみません、一段落訳し忘れていたので追加しました(^^;
キビシイご意見が続きますが…
日本男子は今までどおり強いとお考えのようです^^
高橋君と小塚君はモスクワに到着したとのこと、
とにかく自分の力を出し切ってほしいと願っています!
― では、男子シングルの世界のトップ梯団の事態検討に移りましょう。ここで注目していただきたいのは、フランスのフロラン・アモディオが4回転ジャンプにトライすることすらなく、ベルンのヨーロッパ選手権で優勝したということです。ベルンやバンクーバー五輪と同じように、もしモスクワでも4回転なしの選手が金メダリストになれば、きっと多くの人がこう言うでしょう。「4回転がなければ、ふさわしくない」と。この点についてはどう思われますか。
モスクワの世界選手権では、十分な数の4回転ジャンプが見られると思っています。多くの選手たちが跳ぶでしょう。まさにその4回転ジャンプがカギになると予想しています。
― ということは、よく
チャンは私の知る限り、いま非常に良いコンディションにあります。4回転も十分安定していますし、セカンドに3回転トゥループをつけたコンビネーションも跳びます。チャンはショートプログラムでも4回転ジャンプのリスクを取ると思っていますし、フリーに至っては当然のことです。フリーで2本の4回転を予定しているのではないでしょうか。
― つまり、そのチャンが世界選手権の優勝候補ということになりますね?
全体としてはそうですね。彼は優勝候補です。しかし今回のモスクワの世界選手権の場合、どの選手に優勝の可能性があるかを断言するのはかなり困難です。大会の日程が変更され、まる1ヵ月間コンディションを保つというのは、選手にとってとても難しいことは明らかですから。1ヵ月ではなく1ヵ月半だったとしても、早めにコンディションを整える必要があります。選手たちみんながこのような状態を持ちこたえているでしょうか。良い準備ができているでしょうか。見てみましょう…
― 精神力(意思の強さ)が影響しますか?
すべてが影響します。精神面(心理)も、意思の強さも、“フィジカル面”も。
― フランスのベテラン選手、ブライアン・ジュベールの可能性についてお聞きしたいと思います。最近、彼自身からも彼のファンからも不満の声がよく聞かれます。ジャッジたちが彼のプログラムのジャンプ以外のエレメンツにかなり低い点数をつけ、柔らかく言って、彼に敬意を表していないというものです。「フランス人たちは若いアモディオを当てにしていて、ジュベールは“使用済み”とみなされている」と、あけすけに言う人も多くいます。
私が思うに、レベル4のスピンをせず、そこで良い得点がもらえないとすれば、そのスケーターはそれを認めることができるはずです。自分の演技を見て分析しなければなりません。それに、いま話題にしているのはそこらへんの人間ではなく、卓越したスポーツ選手についてです。連盟もジャッジも「ほら、君がやったこのエレメンツがレベル4ではなくレベル1なのは、こういう理由からだよ」とジュベールに説明できるはずです。しかし、スケーターの滑りに何も起こらず、何も変化がないとなると、「何故なのか?」という大きな疑問が湧いてきます。
現在のフィギュアスケートではそれぞれのエレメンツに決まった得点が配分されていて、その得点は正しくないやり方で振る舞われています。1点どころか0.1点だって、0.01点だって放出されることはないのです。これは自らに対する犯罪です(※この下りの訳はあやしいです)。もしジュベールが、レベルの高いスピンやステップ無しでも自分は勝てると考えているなら、彼はクールだということになります。そしてもし実際に勝てれば、2倍クールです。しかし、うまく行っていないのなら、自分をよく見てプログラムの何かを変えなければいけないでしょう。
ついでながら、現行のルールには多くのニュアンスがあります。難しいバリエーションもあれば、そうでないものもあります。スケーターは自分がやっているエレメンツを難しいものだと考えがちですが、ジャッジと技術審判団の方はそうは考えません。ですから、選手はどのポジション、あるいはどのバリエーションがジャッジにどう評価されるのか、情報を明確に掌握しなくてはなりません。特にエリートレベルのスケーターに関してはそうです。
― もし世界選手権が日本で開催されていたら、地元のダイスケ・タカハシ、ノブナリ・オダ、タカヒコ・コヅカの3選手が優勝候補に名を連ねたでしょう。一連の悲劇が起きてしまった今、日本の選手たちはモスクワで良い演技ができると思われますか。
日本の選手たちは言うまでもなく世界選手権の優勝候補に入ると思います。彼らは全員強いですし、地震にともなう状況がそれほど深刻な影響を与えるはずはないでしょう。それに時間もかなり経っています。
さらに、すべての国の代表チームが最強メンバーでモスクワへやってくるわけではないという事実も、考慮に入れなくてはなりません。例えば、アメリカが世界選手権へ送り込んでくるのは、自国の最高とは程遠い選手たちです。彼らの事情は公正に言って次のようなもので、国内選手権で良い演技をした者を代表チームに入れ、失敗の滑りをした者をチームから出しました。ポテンシャル的にはアメリカで最高の選手たちが、全米選手権では良い演技ができなかったのです。
― リチャード・ドーンブッシュ、ロス・マイナー、ブライアン・ブラッドレイ(※原文通り)、この3人のうち誰もモスクワで自分の真価を発揮しないと?
ドーンブッシュはジュニアからシニアへ上がったばかりです。トリプルアクセルを持つふつうの良い青年ですが、少なくとも私が最後に彼を見た時点では、4回転は持っていません。悪くない滑りをするのですが、まったく最後まで滑り切ることができない可能性があります。マイナーのことはあまり見たことがありません。ブラッドレイは4回転を跳びますが、トリプルアクセルが非常に不安定で疑わしい。私はこういう選手のことを月へ飛ぶ人と呼んでいます。プレゼンテーションもコレオグラフもあまり良くありません。というわけで、そうです、今回の世界選手権でアメリカの代表選手がメダルを取るとは思いません。
※原語はкатальщик/катальщица(女性形)。ダンサー、ジャンパーと対比的に使われる言葉で、“スケーティングの上手い人”ぐらいの意味のようです。ロシアのファンサイトでこのタイプのスケーターとして名前が挙がっているのは、チャン、バトル、ランビエル、プルシェンコ、ベルネル、高橋大輔、小塚崇彦、キム・ヨナ、コストナー、浅田真央等です。
(つづく)
<自習メモ>
отрабо'танное я'дерное горю'чее
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