<ロシアは魂に生きている>ジョニー・ウィアー
ジョニー・ウィアーのインタビューがあまりに素敵だったので
こちらを先に訳しました…待って下さっていた皆さま、すみません。
五輪以降、我が社の女子社員の間では「薔薇の君」(笑)と呼ばれ
人気急上昇中のジョニーですが、本当にチャーミングだと思うし
ロシア語も上手すぎです!!(私の訳はかなりテキトーです…)
2010年4月6日
タチヤナ・ボロトフスカヤ
先日、ペテルブルクでエフゲーニー・プルシェンコのショー「Kings of the Ice」が行われた。出演者の中にはアメリカのスケーター、ジョニー・ウィアーがいた。彼がロシアを溺愛していることは有名だ。ジョニーはいつかここへ引っ越してくることを夢見ており、そのことについても我が社の記者に語ってくれた。しかも、まったく訛りのないロシア語で…
― ジョニー、そのロシアへの愛は一体どこから来たのでしょうか?
多分、子ども時代からです。5歳の時に学校で『ロシアとその共和国の数々』という本を読みました。ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国の写真を見て、それがとても美しいということが分かりました。それで、両親にそこへ行きたいと言ったら、ソ連は恐ろしい国だから行けないと言われたのを覚えています…その後、ロシアに関する本をたくさん読んで、完全にロシアに病みつきになりました。僕は帝政ロシア時代がとても好きなんです。革命後のこと、例えば共産主義のことなどはよくわかりません。でも、今のロシアは蘇った美しい国です(美しいロシアが蘇りました)。ロシアへの愛はこれからもずっと僕の心の中で生き続けるでしょう。
― 初めてロシアを訪れたのはいつですか?
僕の夢が実現したのは17歳の時です。2001年でした。
― その時ペテルブルクで何を見ることができましたか?
ミハイロフスキー劇場(※「レニングラード国立バレエ」の名称で、今年1月にも来日していたようです)でバレエを見ました。エルミタージュを訪れ、ペテルゴフ宮殿(※ピョートル大帝の夏の宮殿)へ行きました。美ですね!
― モスクワとペテルブルク、どちらの方が好きですか?
この2つは全く別の街です。韓国と日本とどちらが好きかというようなものです。
― ロシアのどういった文化がお好きですか?
子供の頃からチャイコフスキーをよく聴いています。プーシキンはセンチメンタルで大好きです。英語で読んじゃダメですけどね。僕はまあまあロシア語が分かりますが、それでもやっぱり詩を完全に理解することはできません。トルストイも好きですが、詩(韻文)の方が好きなんです。ロシア文化は偉大な文化です。アメリカ文化は、結局のところ、ブリトニー・スピアーズやコカ・コーラということになります(に帰着します)。
― でも、ロシアではありとあらゆるところで「アメリカ化」が進んでいます…ポップカルチャーは今どんどん人々の心をつかんで…
ええ、ポップグループの「ヴィアグラ」のことは知っていますし、マクシムも聴きました。僕はディマ・ビランがとても好きですし、セルゲイ・ラザレフが特に気に入っています。でも、「タトゥー」は例外として、ロシア音楽をアメリカに定着させることはできません。セリョージャ・ラザレフは上手に英語を話すし、英語で歌も歌いますが、それでもアメリカで人気歌手になれるとは思いません。
― その素晴らしいロシア語をどうやって習得したのですか?
独学です。先生はいません。コーチたち(編集注:ガリーナ・ズミエフスカヤとヴィクトル・ペトレンコ)とロシア語で会話をしていて…
― ロシアの映画はご覧になりますか?
『モスクワは涙を信じない』(※アカデミー賞外国語映画賞も受賞した有名な作品)と『寮は聞いている!』(※『モスクワは~』に出てくる有名なセリフのようです。タイトル自体もセリフのひとつのようです。一度くらい観ておかねば…)が大好きです(笑)。そこにはソ連が描かれていて、ヒロインが工場で働いているというのが面白いですね…
― ロシア人はあなたにとって精神的に近しいですか?
僕はロシアの人々が好きです。はじめは冷たくて閉鎖的に見えますが、少し親しくなると心を開いてくれます。一方、アメリカではみんなが微笑んでいますが、このアメリカン・スマイルはまったくの作り物です。出会いを喜んでくれているようでも、アメリカ人のスマイルの向こう側には実は何もありません。もちろん、誰かと親しくなるには時間が必要です。僕にはロシア人の友人がたくさんいます。
― エフゲーニー・プルシェンコはあなたの友人だと言えますか?
もちろんです。ジェーニャはとても良い人で、好感の持てる人です。彼はいつも僕をサポートしてくれます。
― ロシア人は苦悩したり憂うつになる傾向がありますが、あなたにも分かりますか?
ええ、ロシアの人たちは時々「黒い」状態になりますね。僕にもそういうことがあります。正直に言うと、オリンピック後に憂うつに陥って…あれは僕の人生で一番良い滑りだったと思いました。そこで与えられた6位という順位は、明らかに不当です。それでトリノの世界選手権へ行かなかったんです。
― 憂うつを克服する手助けになったのは?
“憂うつ”の方から離れていきました。こんどは虎のように新たな進撃をしますよ。僕は試合無しではいられません。試合は僕にとってドライブ(※車のドライブまたは、テニスのドライブ?)みたいなものです!もっとスケートをしたいし、試合に出たいと強く思っています。
― あなたにとって基準になるスケーターは?
オクサナ・バイウル、それからイリーナ・スルツカヤ。彼女は喜びいっぱいに滑ります。技術面では、エフゲーニー・プルシェンコに、アレクセイ・ヤグディンに、イリヤ・クーリックに…僕はアメリカのスケーティングスタイルが好きじゃないんです。アメリカン・スマイルと、全面的に作り物のスタイルはね。
― ロシアのフィギュアスケート学校は何が違うと思われますか?
とても強い学校です。喩えて言うなら、まるで街中で1人の子どもを養成しているような…僕のチームは全員ロシア人です。コーチも、振付師も、マッサージ師も。
― 一人でいるのはお好きですか?
ええ、家族も友人も大切ですが、一人でいることは大好きです。
― これからのご予定は?
モンゴルへ行きたいと思っています。次にマリーナ・アニシモワのとろこにお邪魔して、子どもたちに会いたいです。その後、カリブ海の島でゆっくりしたいです。
― もしできるとしたら、アメリカからロシアへ何を持ち込みたいですか?またその逆は?
アメリカからロシアへは十分な生活レベルを、ロシアからアメリカへは魂を。ロシアの人たちは心に生きていますから…
<原文>
http://www.sportsdaily.ru/articles/trehkratnyiy-chempion-ssha-dzhonni-ueyr-rossiya-zhivet-dushoy-35929
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