<2010バンクーバー五輪・男子シングル>アレクセイ・ティホノフ
おまけに、けっこう皮肉が込められているので
かなり意訳が入ってますし、翻訳精度も下がっていますが
自分の勉強のためと、内容が面白かったのでご紹介したいと思いました。
高橋君には厳し目かなと思いますが、ティホノフさん、熱い男ですね!!
2010年3月16日
日記 ー ペトロワ&ティホノフ公式HPより
オリンピックはもう過ぎ去ったのに、男子シングルの金メダルをめぐる論争はおさまらない。まだ冷めない痕跡にしたがって(?)、起こったことに対する僕とマリアのコメントを書こうと思う。
まず最初に、僕たちはアルチョム・ボロドゥリンを喜んで祝福するよ。彼は初出場のオリンピックで良くやった!調子を合わせ、集中し、ノーミスで滑るなんて、本当に素晴らしい!初出場の選手にとって、オリンピックの13位というのはとても良い成績だよ。(アルチョムの成功の意義を小さくするつもりは全くないけれど、セルゲイ・ヴォロノフが代表チームに入れなかったことだけが気の毒だ。)
日本のノブナリ・オダのフリーが完成されなかったのは残念だ。ニコライ・モロゾフは彼にチャーリー・チャップリンのテーマで素晴らしいプログラムを作ったのに、どうも何かがうまく行かず…おまけに靴ひもまでほどけてしまった。だいたい彼はこのプログラムのテーマをよく感じ取っているし、とても良い滑りをするのに。
それから、皆さん、カナダのパトリック・チャンの演技にも注意を向けてほしい。彼は耳も、手も、足も引かれることなく、残りのすべての部位(順位)を引きあげられた(※「耳を引っ張る」という慣用句があって、意味は「無理やり何かをさせる」。また、ロシア語では身体の“部位”も、成績の“順位”も同じ単語を使うので、「無理やり順位を引っ張り上げられた」という皮肉だと思います)。登場して、ミスをして、信じられないような高い得点をもらった。これは、彼には特筆すべきスピードがあって、うまく空地(空白部分)をカバーしていて、つなぎのステップ等があるからだと言われているけど…多分、それはあるんだろうね。でも、彼がミスをした状況下では、なぜかそういうスピードやつなぎは全然見えなかった。あまりにお粗末な耕し残し(手抜かり)だったよ。
フリーでジャンプを跳ばず、そこでもらう得点がエフゲーニー・プルシェンコとたった5点しか違わないなんて、驚くべきことだ。どうすればこんなことが?オリンピック開催国には最高の敬意を払うけれど、この「奇跡」は別の領域からのものだ。
3位になった日本のダイスケ・タカハシは、フリープログラムを一息で駆け抜けた(?)。良いプログラムで、粋なフィニッシュだ。やはりミスをやらかしたのが残念だ。4回転トゥループでばったり倒れてしまい、しかも回転不足だった。その後集中できたのは素晴らしいけれど、この演技で銅メダルというのは、僕の見解ではちょっと良すぎるという印象だ。
金メダルを取ったアメリカのエヴァン・ライサチェクは、最終グループの1番滑走だった。スピードは無かったが、クリーンで、ノーミスだった。トリプルアクセルを2本跳んだけれど、そのうち1本はダブルトゥループとのコンビネーションに過ぎなかった。クリーンな演技をしたかったのは分かるが、ジャンプについては、忍び寄ったという印象だ。他のエレメンツの出来は悪くなかったし、本当に良いステップとスピンだったが、途方もなく高い得点を得た。
つまり、エヴァンは言うまでもなく良くやったんだ。自分に出来ることをすべてやった。戸惑いを引き起こしているのは、このアメリカ人スケーターにつけられた得点と、ジャッジの「金メダル」という決定だけだ。僕は、1994年のリレハンメル五輪で優勝したアレクセイ・ウルマノフのことを思い出す。もう16年も前になるけれど、彼はエヴァンとほとんど同じエレメンツ構成だったんだよ。そして2010年の今、あらゆるものが前進し、成長し、発展して然るべきだ。フィギュアスケートも、五輪チャンピオンの技術も…
ところで、アメリカ代表チームの総評だけど、バンクーバーで僕に遥かに大きな印象を与えたのは、別のアメリカのスケーター、ジョニー・ウィアーだ。
今回の滑りは、おそらくこの3年ぐらいの間でいちばん良かった。本当に良くやったよ!彼もやはり4回転を跳ぼうとしなかったけれど、それでも僕の見たところでは、ライサチェクよりも良い滑りだった。いつものように芸術的で、彼独自のスタイルで、心を揺さぶるような身のこなしで、しかもクリーンな演技だった!とにかく良くやったよ!
スイスのステファン・ランビエルは、日本のタカハシと同じくミスはあったけれど、4回転に2度挑んだ。1回目は手を付き、2回目は得点の少ないダブルトゥループとのコンビネーションになった。つまり、彼は氷の上に出て戦ったんだ。怪我も何も省みずに。
言うまでもなく、ランビエルはいつもどおり粋なプログラムを持ってきていた。確かに、やはりオリンピックということで、緊張から少し硬くなってはいたけれど、それでも僕の見たところでは、ライサチェクよりもかなり良い滑りだった。なのにやっぱりなぜか順位が低くて…表彰台にも届かなかったとは…
そして最後に、「銀メダル」のエフゲーニー・プルシェンコ。
(中略:あまりに熱く、長く語られているので、ちょっと省略します)
もしエフゲーニー・プルシェンコの滑りがそれほど悪いのなら(よりによって彼のつなぎに5点をつける人がいる!)、尊敬するジャッジの皆さん、あなた方はなぜ世界選手権で彼に何度も表彰台の一番上に立たせたんですか?どうやって彼をトリノオリンピックで勝たせたんですか?!僕にはよく分かりませんよ。
(中略)
ヨーロッパ選手権と比べると、バンクーバーのジェーニャの滑りは、タリンの時よりもちょっと悪かったかもしれない。それでも、僕が今回のオリンピックで見たすべての演技の中で、エフゲーニー・プルシェンコの滑りこそ(難度とプログラムの実施において)、唯一オリンピックの「金メダル」に相応しいものだった。
(中略)
もしかすると、プルシェンコを見て、こんなふうに思っている人がいるかもしれない。3年間トレーニングをせず、試合に出ず、その後1度だけ出場したら、また表彰台に立てるものなんだって。そんな皆さんに僕はこう言いたい。これは例外なんだよ。こんな芸当ができる人間を、僕は世界中で2人しか知らない。ジェーニャがその1人だ。
(中略)
プルシェンコ1位、ランビエル2位、ウィアー3位、ライサチェクはこの3人の近くのどこかだ。
(略:ペトロワのコメント。ティホノフとほぼ同じ見解です)
<原文>
http://www.petrova-tikhonov.ru/diary/index.php?id=168
<自習メモ>
плашмя' (うつぶせに)ばったり倒れる
недоуме'ние 当惑、とまどい、ためらい
позво'лить себе あえて…をする/…する余裕がある
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