<勝利は前進を止める(下)>セルゲイ・ノヴィツキー
無理矢理(いや、どうしても行きたかったのですが)埼玉へ
JO観戦に行ったもので、さらに風邪が長引いて…
そうこうしている内にシーズンイン。
トゥクタミシェワ、ソトニコワ、ヴォドレゾワ、プルシェンコと
訳したい記事がどんどん溜まっていきますが
まずはノヴィツキー・インタビューの続きから。
― 今年はオリンピックシーズンですね。昔を振り返って、2006年トリノ五輪のときの自分を思い出してみると、『我々はなんと若かったことか』(※1)のような思いが浮かんできませんか?
ええ、何かしらそういうものはありますね。それに、『あぁ、我々はなんと無邪気だったことか』(※2)とも思いますし。正直なところ、もうかなりの時間が、明らかに4年以上が経ったような感覚です。それぐらい僕たちは変わったし、成長したということです。時々その頃の録画を見て、自分の感情や感覚を思い出すと、まったく別の自分だったことが分かります。それは初めて代表チームに入った時でした。トリノへ行くときはもう有頂天で!今はすべてが違って、もはや興味津々の出来事ではありません。別の課題であり、別の責任です。
― オリンピックが他の試合と決定的に違う点は何でしょうか?
僕の個人的意見では、4年に1回という点ですね(笑)。サッカーの欧州選手権やワールドカップみたいに。もしフィギュアスケートにもそういう4年に1度の大会があったら、大騒ぎになるでしょうね。
― サッカーは好きですか?
好きです!CSKAのファンです!
― アイスダンスで好きなカップルは?
世界の上位10組、いや、20組の名前を挙げたいです!それぞれのカップルに独自の魅力があります。みんな個性があって、ユニークで、興味深いです。特にお気に入りなのは、イギリスのケアー姉弟ですね。彼らのプログラムには熱狂します!
― 昨シーズンを思い出しますか?
そうですね、決して愉快ではない終わり方でしたが、それでも大きな成功の年だったと思っています!毎年ヨーロッパチャンピオンになれるわけじゃありませんから。
― ヨーロッパチャンピオンという呼び名は、あなたにとってむしろ重荷ですか?それとも翼ですか?
たぶん、やっぱり翼ですね。相当の重みはありますけど。でも、その翼で羽ばたいて、さらに先へ飛んでいきたいです。
― メダルの裏面(負の側面)は?
何か大きなタイトルを獲ると、ある程度の期間はどうしても満足感に浸ってしまいます。自分はよくやった、勝利を手に入れた、後のことも万事うまく行くだろうって。天国の庭と栄光の水浴に背を向けて、達成したことを忘れ、さらに這い登らなければならないというのは、とても難しい時期です。周囲をきょろきょろ見ることなくよじ登り、這い上がらなくてはいけません。スタニスラフ・ズークが言ったとおり、表彰台の真ん中に立つことですら前進のブレーキになるのです。
(終)
※1:《как молоды мы были》
映画『私が3年生だったときの恋』(1977年)の歌の一節。作詞者は、映画『我々はなんと若かったことか』(1961年)から借用して詩を書いたと思われる。
過ぎ去りし若き日々や、その頃の出来事、感情の思い出を語る際、比喩的に使用される。
「名言百科事典」より
http://krylslova.ru/index.php?a=term&d=1&t=1975
※2:《боже, какие мы были наивные》
バスネル作曲、マトゥソフスキー作曲のロマンス曲の一節。テレビドラマ『タービンの日々』(ブルガーコフの同名戯曲より)で使われ、有名になった。
若き日や幼き日への哀惜、その頃に抱いていた理想、夢、計画についてコメントする際、比喩的に使用される。
「名言百科事典」より
http://krylslova.ru/index.php?a=term&d=1&t=356
- 関連記事
-
- プルシェンコの五輪でのチャンスをヤグディンが高く評価 (2009/10/24)
- <プルシェンコは偉大だが、僕は闘う>セルゲイ・ヴォロノフ (2009/10/17)
- <勝利は前進を止める(下)>セルゲイ・ノヴィツキー (2009/10/10)
- <勝利は前進を止める(上)>セルゲイ・ノヴィツキー (2009/09/26)
- <悠子とサーシャは高いところを狙える>タマーラ・モスクヴィナ (2009/09/24)