エレーナ・ヴォドレゾワのカザフスタン司令部(下)
― 2006年のトリノオリンピックの後、ロシアフィギュアスケート界のスターたちが大勢、現役を引退しました。それとほぼ時を同じくして、『アイス・エイジ』や『スターズ・オン・アイス』のようなプロジェクトがロシアのテレビに登場してきました。これは偶然の一致でしょうか?
断定的に何か言うのは難しいですね。でも、これらの番組は間違いなく、ロシア人のフィギュアスケートに対する関心を高めました。例を挙げましょう。私たちのCSKAへトレーニングに来ていた人の数は、もともとは100人ほどでしたが、今では600人近くになっています。『アイス・エイジ』がランキング(視聴率?)のトップに入っていることは知っています。
いちばん肝心なことは、これらの番組の中でタチヤナ・ナフカ、ロマン・コストマロフ、アレクセイ・ティホノフ、マリヤ・ペトロワ、マルガリータ・ドロビアズコといった有名なスケーターたちが、新たに才能を発揮したことです。ナフカは現役復帰したいと考えたほどです。私は、例えば、まったくスケート靴を履いたことのなかったアーティストが、どんな風に仕上げてくるかを見るのが楽しいですね。
― テレビ番組のほかに、フィギュアスケート関連のシリーズとして、『ホット・アイス』や『二人姉妹』がありましたが…
『ホット・アイス』は、あまり出来が良いとは思えません。5分見たらもう十分でした。聞くところによると、リョーシャ・ティホノフがまさに俳優のようなとても良い演技をしているそうですね。でも、私の見たところでは、専門的なスポーツに関する優れた芸術作品というのは、これまでまだ撮影されたことがありません。スポーツ選手は俳優の代わりに演じることはできませんし、また、俳優がスポーツ選手をそれらしく演じることも決してありません。それぞれが自分の仕事をするべきです。
『二人姉妹』のシリーズについてですが、やはりこちらの方でも、フィギュアスケートはばかげたものに映っていました。ただ、スポーツが描かれているのはシリーズの最初の2回だけで、これはプロデューサーのとても懸命なやり方だと思います。作品のメインテーマはフィギュアスケートではなく、愛であり、2人のヒロインの運命なのです。
― フィギュアスケートを、ショービジネスと同じようなものとして見る人がたくさんいます。皆がお互いに微笑み合ってはいるけれど、実際にはライバルのことを我慢できなくて…
全くそのとおりです。でもそれは、どんな個人競技にもつきもので、フィギュアスケートだけの話ではありません。それぞれが自分のために戦っているのですから、それが当たり前の状況ですよ。でも、時には舞台裏で火花が散るのもいいし、ライバルとのそういう試合があるのもいいでしょう。ライバルたちは自分を楽しませてくれますから。
(終)
<自習メモ>
конкуре'нт ≒ сопе'рник
Так и есть. 本当にそのとおりだ。
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