<曾曾曾祖父の名に恥じない自分でありたい(上)>デニス・テン
デニス少年のボーイソプラノ、いちど聞いてみたかったです♪
それにふさわしい自分でありたい。
冬季五輪プレシーズンにおいてフィギュアスケート界最大の発見となったのは、おそらく15歳のカザフスタン人デニス・テンだろう。彼は世界選手権のデビュー戦で8位という成績をおさめたが、フリープログラムだけを見ると6位で、フランスの世界チャンピオン、ブライアン・ジュベールを技術点で上回っていた。テン選手がどのようにして高い目標を持ち続けているのか、『オールスポーツ』スポーツ情報局の記者に語ってくれた。
― デニス、世界選手権以降、ジャーナリストたちにはうんざりさせられたのではないですか?
いいえ(微笑)。僕のことを書いた記事はいくつか読みましたが、個人的な取材は受けていません。でも、ロサンゼルスの世界選手権のときは、フリープログラムの後ミックスゾーンからなかなか解放してもらえなくて、足の感覚がなくなったぐらいでしたよ(笑)。
― あなたは世界選手権でセンセーションを巻き起こしました。正直なところ、このような結果を予測していましたか?
ロサンゼルスでの目標はごく控え目で、オリンピックの出場権を得ることでした。そのためには、当初は24位以上なら十分だろうと考えていたのですが、世界選手権のときには割り当て数が17位までに削減されたことがわかっていました。僕はショートプログラムでちょうど17位だったので、SPの後は順位を下げないことだけを考えました。コーチたちは得点が低いとこぼしていましたが、そのことは考えずに、すぐに翌日のフリーへと気持ちを切り替えたんです。
あのフリープログラムのことは生涯忘れません。あんなふうに滑ったことは一度もなかったんですから!
― もうファンは現れましたか?
はい、韓国のグランプリ・ファイナル後に。まったく予想外の出来事で、手紙やプレゼントの入った小包を受け取るようになりました。ロサンゼルスでは、ウォームアップのときに僕の写真入りの大きなバナーを見ました。本当にびっくりしました!
― 世界選手権が終わってから、何が変わりましたか?
まず何よりも、世界選手権は僕に、まだやらなくてはいけないことがどれだけ沢山あるか、これから先の道のりがどれだけ長いかを教えてくれました。
そのことを初めてはっきりと感じたのは、韓国のグランプリ・ファイナルのときでした。今シーズンはシニアとジュニアのファイナルが同時に行われたんです。ワーニャ・バリエフと一緒に観客席に座っていたときのことをよく覚えています。男子のショートプログラムを観戦して、お互いに顔を見合わせてこう言ったんです。「僕たちはまだどれだけ勉強して、練習して、戦わなくちゃいけないんだろう!…」
― でも、今でももう十分にすごいことをやっていますよ。では、フィギュアスケートを始めたきっかけを話してもらえますか?
母が僕にスポーツをさせたがったんです。学校の勉強と両立できるようなものをね。それで体力作りのためのグループで滑り始めて、それを延長したんです(微笑)。同時に音楽学校にも通っていて、合唱をやっていました。とても真剣に打ち込んで、2002年に釜山(韓国)で開催された合唱オリンピックでは銀メダルを獲ったんですよ。でも、やがて選択をせまられました。音楽か、それともフィギュアスケートか。僕は後者を取りました。
率直に言うと、カザフスタンのトレーニングレベルはそれほど高くなかったんです。夏にはリンクが閉まり、ショッピングセンターで滑らなくてはいけませんでした。僕の最初のコーチはアイグリ・クアニシェワで、彼女にはものすごくお世話になりました!そして2002年か2003年に、エレーナ・ヴォドレゾワが「クリスタル・スケート」で僕に目を止めて、招いてくれたんです。
― モスクワとの出会いはどうでしたか?
最初はとても大変でした。滞在費、衣装代、遠征費など、すべての金銭的な問題を自分たちで解決しました。でも、国際大会(ジュニア・グランプリ)で初優勝すると、カザフスタンが僕を積極的に支援してくれるようになりました。このことには、もちろんとても感謝しています!
(続く)
2009年6月10日
「オールスポーツ」
<原文>
http://www.allsportinfo.ru/archive.php?id=28311&s_s=106&s_d=15&s_m=6&s_y=2009&b=0&l=40
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