<現行ルールは花より技>アレクセイ・ミーシン
自身の技をデモンストレーションするようにし向ける
1月19~25日、フィギュアスケートのヨーロッパ選手権がヘルシンキで開催される。1999年にはこのフィンランドの首都で世界選手権が行われ、ロシアチームは4種目すべてで金メダルを獲得した。あれから10年の歳月が流れ、多くの変化があった。我が国の成績のみならず、スケート選手にも、エレメンツの構成にも、演技へのアプローチのし方にも。5シーズン目に新しい採点システムが取り入れられたのだ。
新システムに関する変化について、3人のオリンピックチャンピオン(アレクセイ・ウルマノフ(1994)、アレクセイ・ヤグディン(2002)、エヴゲーニー・プルシェンコ(2006))を育てたアレクセイ・ミーシン教授が、『オールスポーツ』スポーツ情報局通信員に自らの考えを語ってくれた。
まずは、やや余計な説明になるが、この問題についての私の解釈を明らかにするために、類似性のある話題を提起したいと思う。
かつてフィギュアスケーターは、図形を描くことで競い合っていた。それは花や、風景や、ぐるっと周回する形だった。しかしこのような試合は長くは存在しなかった。審判にとって、バラとチューリップとどちらが良いかを判定するのは非常に難しかったからだ。そこでスケーターたちは、チューリップとバラの代わりに円形に変更することに決めた。こうして選手たちは円を描くことで競い始めた。円を2つ、円を3つ…全員がまったく同じことを行った。審判は各選手の技術を評価したり、勝者を決定しやすくなった。しかし、この試合形式も時とともに変わっていった。見ていて退屈で、面白くなかったからだ。
新採点システムで各選手が目指すのは、面白いものや美しいものではなく、レベル4を取れるスピンやステップやスパイラルだ。レベルへの要求はとても厳しく、その結果、どのプログラムを見ても非常に似通ったエレメンツ構成になっている。現行ルールは、スケーターとコーチたちをチューリップやバラを創り出すことではなく、自身の技術をデモンストレーションするように誘発し、しかも、こうして審判が各々の技術を比較しやすくなる方向へとし向けている。だから今では、本当の花を見ることはとても困難になった。バラやチューリップは稀になってしまった。その周囲には、白くて、同じ品質の花びらを持つカモミールが群生している。こうして審判側には、フィギュアスケーターの技術を最大限に公正に比較し、評価できる(実際にはそうなっていないことも多いが)可能性が出てくる。
別の観点から見てみると、スピンは今では全体としてより多様になり、ステップワークはより複雑になった。かつてステップワークは公式に必須のエレメントで、単純なステップが幅を利かせていた。そして、ついでながら、複雑なステップをプログラムで行った最初の選手は、私の生徒エヴゲーニー・プルシェンコであることは確かだ。もう1999年のことになるが、ハチャトゥリアンの「剣の舞」のプログラムでのことだった。
2009年1月17日
『オールスポーツ』
<原文>
http://www.allsportinfo.ru/archive.php?id=22877&s_s=106&s_d=11&s_m=1&s_y=2009&b=2&l=40
<自習メモ>
аналогия 類似, 類似性, 一致, 共通点、相似
расставить それぞれの場所に置く、配置・配列・陳列する
[по]ставить точки на(над) 《и》
遺漏なく説明する、余計な説明をする、遺漏のない結論に導く
подо'бный かくの如き、このような/類似の、同様の
преобладать 勢力を占める、幅を利かす、優勢・有力である、リードする
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