<ロシア選手はレベルアップしている(上)>タチヤナ・タラソワ
少しずつ訳してUPしていく予定ですが
タラソワさんの言葉は感覚的というか何というか
いわゆる“おばちゃん”のロシア語に触れるのは初めてなので
案外これが普通なのかもしれませんが…訳しにくいです(^_^;
かなり意訳が多くなっておりまので、ご了承くださいませ。
GPロシア大会後のタラソワさんのインタビューです。
冒頭部分と、取り急ぎ真央ちゃんの部分を訳しました。
先週末モスクワで、フィギュアスケート・グランプリシリーズ第5戦が行われた。大会参加者の中で最も目を引く人物のひとりが、ロシアチームの顧問であるタチアナ・タラソワだった。彼女はリンクサイドでコーチとして仕事をし、またコメンテーターも務めた。権威あるスペシャリストに『ノーヴィエ・イズベスチヤ(新報道)』紙が、ロシアと世界のフィギュアスケート界の現状について話を伺った。
― タチヤナ・アナトリエヴナ、コメントによると、我が国のフィギュアスケーターたちの今シーズンの演技は、とにかくあなたを大いに喜ばせたようですね…
私は、我が国のスケーターたちが仕事をしているのを見ています。我が国のコーチたちも仕事をしています。まだ確かにミスはあります。ここでは、あなた自身もご覧になったように、ほとんどの選手がミスをしました。でも、特にペアなどは、初めてシニアの試合に出た選手もいたんです。ホームでの試合はいつも難しいものです。ですから、いずれにしても進歩は明らかです。
私たちのアリョーナ・レオノワが自己ベストの滑りをしたのは素晴らしいことです。彼女にもっと力強さが加われば、我がチームに非常に強いシングルスケーターが現れることになるでしょう。
それから今シーズンは、マリヤ・ムホルトワ&マクシム・トランコフ(オレグ・ワシリエフの教え子はグランプリ・モスクワ大会には出場していない・筆者注)のショートプログラムがとても良かったですね。
しかし、もっと言いたいことがあります。私は、例えば、セリョージャ・ヴォロノフがスケート・カナダでなぜあんなに低い点数をつけられたのかが分かりません。これについては全く同意できません。彼は4回転ジャンプを決め、そして3回転半も跳び…細かいミスはありましたが、全体的にはとても良いスケーティングで、プログラムも興味深いものだったのに、どうすれば6位などという順位になるのかわかりません。ジャッジが私たちに誤った通知をしているのか、さもなければ何かを変える必要があります。でも、彼とウルマノフ(ヴォロノフのコーチ・筆者注)とは正しい道を歩んでいると私は思います。
さて、繰り返しますが、このように我が国のトップスケーターたちは、全体としてレベルアップしています。個人的にこのような印象を持ちました。
― 我々の3番手のダンスカップル、ルブリョワ&シェフェルに対する、審判のある種の偏見を感じるのですが。そんな気がするでしょうか?
いいえ、あなたは正しいですよ。彼女たちに対する採点はまったく不公平です。ホフロワ&ノヴィツキーに対しても、同じように不公平な採点をされることがあります。彼らは非常に良い滑りをしましたが、愚かにも、シリーズの同じ大会にロシアのトップダンスカップルが2組(ドムニナ&シャバリンとホフロワ&ノヴィツキー・筆者注)出場していました。
私たちは、彼らを別々の大会に振り分けることもできたのではないかと思います。だって、去年の世界選手権で銅メダルを獲ったヤナとセルゲイが、ファイナルに残れない可能性だってあったんですからね。これは受け入れがたいことですよ、ましてやオリンピックのプレシーズンなのですから。
このような選手たちを、このような創造的な授かりものを無駄にしてはいけません。私たちは、いま手元にあるものを大切にするべきです。
― 男子シングルに話を戻すと、新採点システムは難度の高いものをまったく奨励しませんよね。失敗したり得点を失ったりする可能性を恐れ、今では男子選手がプログラム中に4回転ジャンプを入れることは稀になっています。しかし、4回転こそ全種目の名刺で…
まったく同感ですよ。でも、なぜこのようなことが起きているのかは、私に聞くことではありません。
男子シングルにおける技術の進歩は、誰にも止められないと思います。正しい配点が必要なだけです。4回転ジャンプや難度の高いコンビネーションジャンプ無しで済ます傾向は確かにありますが、こんなことは長くは続かないでしょう。やはり、若いスケーターたちが難しいジャンプへのモチベーションを持てるようにする必要があります。「4回転」の習熟には怪我がつきものですから。
ところが、怪我を抱えて試合に出るのは、今日では非常に困難です。ほら、ランビエルは大腿の内転筋を痛めていたでしょ。
こんなことでは、トリプルアクセルすら追い出されてしまいますよ。私たちコーチですらモチベーションを持つのが難しいのです。なぜなら、責任を持って生徒を教えても、生徒はしばらく頑張るふりをして言うことを聞かないかもしれないでしょ…
― でも解決策は? プログラムを簡単にするのですか?
なぜ簡単にしなくてはいけないんです?「4回転」を跳んだ選手に何か褒賞の得点を与えれば良いんです。我が国では、例えば昨年のロシア選手権の予選で、彼らにボーナスポイントを与えました。これは、現状に照らしてみれば正しくないことでしょう。しかし、繰り返しますが、私はそうは思いません。若い選手に難しいことを教える必要があります。
― カナダのスケーターたち、特に男女シングルの選手は、2010年バンクーバー五輪を前に、グランプリ・シリーズですでに2回勝っています。これは、あなたの見解では、理にかなったものでしょうか?
バンクーバーとは関係ないと思います。カナダは常に男女シングルスケートのリーダー国でした。カナダの優秀なコーチたちは国外へ出ませんでした。だから選手の技術も進歩したのでしょう。
― ところで、世界チャンピオンである日本の浅田真央との仕事は、あなたにとって大変ですか?
すべてが大変です。だって、最も強い選手とトレーニングするときは、大きな責任を伴うものでしょ。ただ、今の真央と一緒にやるのは2倍大変なんですよ。彼女はとても体が大きくなって、今も背が伸びていますから。スポーツの技術的側面において、これは最も困難な時期なんですよ、特に女子にとってはね。彼女のキャリアにおけるその困難な時期が、私のところに重なったんです…私たちはできる限り故障無くこの時期が過ぎるように、すべてのことをやっています。でも、この(※身体の成長の)プロセスのスピードが速くなるということはないのです。
※(下)へつづく
2008年11月24日
オクサナ・トンカチェエワ
<原文>
http://www.newizv.ru/news/2008-11-25/102044/
<自習メモ>
визитная карточка 名刺
опять-таки またしても、やはり、その上
предвзятость 先入観、偏見
объективный 客観的な/公正な、公平な
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