<大人への100の質問(3)> アントン・シハルリドゼ
ヒーローというのも大変ですねぇ。
シハルリドゼはとても根気よく上手に答えていると思います。
翻訳でもそれがうまく伝わると良いのですが…
子:こんにちは。
ア:こんにちは。
子:もしも、エレーナ・ベレズナヤが怪我から復帰できなかったとしたら、あなたはどうしましたか?彼女を置いてきぼりにしましたか?
ア:うーん…これはずるい質問だなぁ。僕が自分にこの質問をしたことは一度もないよ。だってレーナが復帰して僕たちがペアを組めたのは、運命がそう決めたことだからね。でも、もしそうならなかったとしたら、僕の人生が別のものになっていたことは確かだ。じゃあ、どんな風に?それはわからない。それを想像(映写)するのはとても難しいことだ。でも、レーナは僕の人生にとって大きな贈り物だよ。
子:エレーナ・ベレズナヤは、あなたについて良いことばかりをたくさん語ってきました。そういう親しくて、やわらかい、良い関係を、あなたは別の人と結んでいるんですか?それともエレーナと何か特別な関係なんですか?
ア:もちろんレーナとは特別な関係だよ。なぜなら、スポーツのパートナーっていうだけじゃなくて、友人だからね。つまり、もうひとりの“自分”なんだ。でも、僕はすべての人々に対して温かく、ベレズナ(※大切にする、守るの意)に接しようとしているし、心地よく、温かくあろうと努力しているよ。
子:ありがとうございました。
子:こんにちは。
ア:こんにちは。
子:エレーナ・ベレズナヤのダンナさんとは友だちですか?
ア:あー、僕の知る限りでは、エレーナ・ベレズナヤには夫はいない。だから友だちにはなれないよ。
子:では、彼女のパートナー(※ベレズナヤはスティーブン・カズンズとの間に男の子をもうけているが、正式には結婚していない)に嫉妬してませんか?
ア:もちろんしてないよ。なぜなら、もう一回言うけれど、彼女は友人なんだ。僕たちの間には、多分いま君が考えてるような関係は無いんだ。だから、彼女に楽しい出来事をプレゼントしてくれる人が彼女の身近にいるというのは嬉しいことだし、彼女が幸せになるのは嬉しいことなんだよ。
子:じゃぁ、彼らの方がきっとあなたに嫉妬してるんじゃ?
ア:それは知らないよ、彼らに聞いてみないとね。僕は知らない。
子:こんにちは、アントン。愛を抽出する化学物質を知ってますか?
ア:エンドルフィンじゃないの?
子:じゃぁ、恋をしたことはありますか?
ア:あるよ。
子:誰にですか?
ア:女の子にさ。君は恋したことあるの?
子:えっ、ないです、多分。
ア:君にもみんなにもその時がやってくるよ。素晴らしい感情さ。僕たち全員がその感情に動かされるんだ。
子:こんにちは、アントン。
ア:こんにちは。
子:もう片方の自分は、もう見つかったんですか?
ア:いいえ。
子:なぜですか?
ア:今それを探しているからだよ。
子:あなたは孤独に見えます。あなたが誰も必要としてないっていうのは本当ですか?
ア:どうしてそう思うんだい?君がそんなふうに思わないようにするには、どうすればいいのかな?
子:えっと、あなたは自分自身についてみんなに語ってくれているわけですが、仕事の話ばっかりです。自分以外の大切な人の話がありません。だから、あなたは孤独だという感じがするんです。
ア:でもね、まず僕は自分の話ばっかりしてるわけじゃないよ。さっき僕らが仕事について話した内容は、例えばエレーナ・ベレズナヤにちゃんと結びついてるじゃないか。それからもうひとつ。どんなスポーツでも、何か大きなことをするときもそうだけど、一人や二人では出来ないんだよ。大きなチーム全体の総力戦なんだ。
もしかすると君は孤独ということを何か違うふうにとらえていて、僕がそれを分かっていないだけなのかもしれないね。でも、まぁ多分、君が言いたいことはだいたい分かるつもりだよ。
フィギュアスケートという種目を選んだこと、そしてそれを子どもの頃からやってきたことで、“それ”は君が考えているように、その後の僕の人生に大きな影響を与えた。“それ”とは自立(個人)ということだと思う。だから多分、僕たちは『集団心理』というものに欠けているかもしれないね。だって、みんなそれぞれ自分で責任を持ち、自分で決めて、自分ひとりでリンクに上がっていたから。最初はみんなペアではなく、ひとりで滑るんだよ。小さい子どもはペアでは滑れないからね。
そしてこのことが、当然ながら、その後のその人の性格や世界観の形成に影響を与えたというわけさ。
でも、僕の周りにはたくさんの友人や知人がいるから、僕がひとりになることは滅多にないよ。
子:理想の女性像を教えてください。
ア:実は、とっても普通なんだよ。優しくて、温かくて、魅力的な人がいいな。そして、何より大切なのは、お互いが理解し合うことだと思う。髪の色とか、そんなありきたりのことはどうでもいいんだよ。まぁ、昔はそんなことも考えてたんだけどね。
子:あなたはロシアのスケーターの中で、いちばん美しいと思われていますよね。あなた自身は自分のことを美しいと思いますか?
ア:そうだなぁ、僕には自分の欠点が見えるから、そういうふうには思わないな。
子:どんな欠点ですか?
ア:教えないよ。
司:アントン、ちょっと待って下さい、これは1回目の拒否権行使とみなしてよろしいですか?
ア:ん?
司:すでにお伝えしたように、あなたは質問に答えるのを拒否する権利を(※3回)持っています。これは拒否ですか?そうですね?
ア:1回目の拒否です。
司:はい、あなたはごまかそうとせず、正しく振る舞いました。それでは1回目の拒否です。
子:あなたはサソリ座です。サソリ座の人はとても情熱的で、荒々しくて、セクシーだとされていますが、あなたもそうですか?
ア:僕はたしかにサソリ座だ。僕はたしかに情熱的だ。でもそれ以外のことは、たぶん僕には当てはまらないと思うよ。
子:じゃぁ、あなたは自分のことをセクシーだと思いますか?
ア:見てのとおり僕は男だから、こういう話題はためらってしまうな。それに、僕が考えるべき大事な問題だとも思わないし。でも、もし君が女の子にとって魅力的だとしたら、それはぜんぜん悪いことじゃないよ。僕もそうありたいと思うから。
子:ありがとうございました。
※(4)へ続きます
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